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株式クラウドファンディングによる未上場株投資

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JNEWS会員配信日 2020/10/5

 企業が設備投資や人材採用に必要な資金を調達するには、金融機関からの融資か、株主から出資を受ける方法がある。しかし、売上実績や担保能力が乏しいスタートアップ企業の場合には、融資で借りられる資金には限度があるし、身内以外の株主を集めることも、なかか難しいのが実情である。

ベンチャーキャピタルの出資が受けられるのは、事業が軌道に乗り始めてからのことであるし、持ち株比率からみた経営者の力は弱くなるため、大口の出資を受けることには一長一短がある。

そうした中、新たな資金調達の方法として、株式型のクラウドファンディングが注目されている。寄付型や商品購入予約型のクラウドファンディングとは異なり、投資家は数万円からの小口出資をすることで、株主としての権利を得られるため、投資家は魅力的な事業を手掛ける会社を応援しながら、その会社がM&AやIPO(株式上場)した時には、元手に対して何倍ものリターンを得ることができる。

海外では、「エクイティ・クラウドファンディング(ECF)」と呼ばれており、新たな資金調達の手段になっている。その背景には、各国の政府が、創業から間もない企業に対して出資をする個人投資家(エンジェル)を増やすことを税制面から支援して、自国のベンチャー事業を育成していこうとする施策がある。

日本でも、未上場のベンチャー企業に出資をした個人に対して税優遇をするエンジェル税制は1996年から導入されていたが、出資対象となる企業の条件が厳しすぎることと、手続きが煩雑すぎて、ほとんど利用されてこなかった経緯がある。

そこで、2020年4月に行われた税制改正では、エンジェル税制の内容が一部変更されて、株式型クラウドファンディングを通して資金調達を行う場合にでは、対象となる企業の条件が緩和された。それに伴い、クラウドで資金を調達して、新規事業にチャレンジする中小企業は増えてくることが予測されている。

■エンジェル税制についての解説動画(経済産業省)

《株主クラウドファンディングの仕組み》

個人が株式クラウドファンディングで投資する利点は、エンジェル税制による優遇に加えて、従来はベンチャーキャピタルなどに限られていた未上場企業への投資を、早いタイミングで行えることにある。

具体例として、英国でEVのカーシェアリング事業を手掛ける「E-Car Club」は、創業期の2012年に「crowdcube」という株式クラウドファンディングのプラットフォーム上で10万ポンド(当時のレートで約1800万円)の資金調達を行った。これは同社株式の20%を分配する条件で、63名の個人投資家が出資を行ったが、2015年には欧州の大手レンタカー会社が同社を買収したため、株式の価値は約7倍でイグジット(EXIT)されている。

E-Car Club

E-Car Clubは、株式クラウドファンディングで成功を収めた世界初の事例として注目を集めたが、もちろんすべての投資案件が成功するわけではない。通常の株式投資と比べると、株式クラウドファンディングは上級者向けの投資手段になるが、小口での出資が行えるため、個人投資家が手を出しやすい面もある。

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JNEWS会員レポートの主な項目
・株主クラウドファンディング(ECF)の仕組み
・未上場株投資を誘引するエンジェル税制の仕組み
・事業リスクを分散するクラウド資金調達の考え方
・クラウド資金調達の国内事例とリターン動向
・英国英国ECFにみる投資家リターンの成功事例
・株式クラウド投資の成功率と破綻率について
・優待制度で個人株主を取り込むビジネスモデル
・クラフトビール会社が構築する株主コミュニティ
・未上場株を売買するセカンダリーマーケット
・米証券業界を席巻するロビンフッドのビジネスモデル
・法改正で加速する不動産クラウドファンディング投資の長短

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JNEWS LETTER 2020.10.5
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