コロナ禍では世界のサプライチェーンが破綻したことから、国内製造業が見直されている。ポイントとなるのが「オンデマンド製造業」のキーワードで、注文数に応じた少量生産を行うことで、付加価値の高いモノ作りをしていく仕組み。 (JNEWSについてトップページ
海外から国内ローカルに回帰するオンデマンド製造業

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JNEWS会員配信日 2020/9/27

 日本国内には、高度経済成長期の1980年代に約42万件の製造工場があったが、現在は19万件へと減少している。衰退の理由は、自動車業界やアパレル業界を中心にグローバル化の波が訪れ、生産拠点が海外にシフトしたことである。それに伴い、製造業で働く労働者も30年前の1500万人から、現在は1000万人にまで減少している。しかし、産業全体で製造業就業者の割合は、今でも15%を占める主力産業であることに変わりはない。

《製造業就業者の推移》

独立起業者の中でも、製造業の人気は高くないのが実情であるが、製造業経営者の平均年齢は65歳を超してきていることから、跡継ぎがいない中小工場の後継者候補として転職する形で事業承継することも、製造業再生の方法として注目されている。その背景としては、ここ数年でローカル製造業の価値が見直されていることがある。

コロナ禍では、世界のサプライチェーンが破綻したことの反省から、海外の生産拠点を国内に戻すことも検討されるようになったが、近年では顧客のニーズが多様化して、多品種少量生産へとシフトしてきていることや、製造現場のデジタル化により、少人数でも付加価値の高い製品を作れるようになったことも、国内のローカル製造業が見直される理由になっている。

そこでのポイントとなるのが「オンデマンド製造業」のキーワードで、大量生産で在庫リスクを抱えるのではなく、デジタル工作機械を活用することで、注文数に応じた少量生産を行うことで、付加価値の高いモノ作りをしていく仕組みである。

 アパレル業界でもオンデマンド製造への変革トレンドが起きている。これまで人気の主流だったファストファッションは、数ヶ月先の流行を予測した新作商品の製造を、人件費の安い海外工場に大量発注することで、安価なプライスを実現させてきた。しかし、主力の販路が店舗からネットへと移行する中で、生産から在庫保有、販売までのリードタイムを減らすことが求められている。

アパレル業界の平均リードタイムは、4年前には90日~120日だったが、現在では約60日となり、それを2週間程度にまで短縮することが、アパレルブランド生き残りの鍵となっているのだ。

これは、「オフショアリング(海外への生産委託)」から「ニアショアリング(国内ローカルへの生産委託)」への転換を意味しており、コンサルティング会社のマッキンゼーが2018年に行った調査でも、米国アパレル経営者の6割が、2025年までに商品調達の20%は国内近隣の生産拠点に戻ると予測している。


※中国工場での製造を国内に戻すことで、約30日かかる輸送期間が0日になる

Is apparel manufacturing coming home?(McKinsey & Company)

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・アパレルロボットによるオンデマンド製造の台頭
・D2Cアパレルブランドのオンデマンド製造モデル
・中国が狙うメイドインUSAブランドの買収方法
・世界で広がる工場を持たないオンライン製造業の形
・中国から学ぶターンキー製造業の仲介モデル
・中国に依存するサプライチェーン破綻の構造と影響度
・整備を起点とした自動車ディーラーの収益構造と参入点

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