3密を回避したい消費者からは、屋外店舗とドライブスルーのサービス形態が人気。ニューヨーク市は「NYCオープンレストランプログラム」として、店舗前の歩道や縁石ゾーンにオープンテラス席を設置することの規制緩和を行っている (JNEWSについてトップページ
3密回避の消費者を取り込む屋外店舗とドライブスルー開発

JNEWS
JNEWS会員配信日 2020/8/8

 新型コロナの影響で売上が下落する事業者にとって、屋内(店舗内)から屋外型のサービスに転換することは重要で、米国では、行政が店舗に隣接する道路の利用条件を緩和する形で、屋外カフェや屋外レストランの営業形態が増えている。

ニューヨーク市では、「NYCオープンレストランプログラム」を実施しており、地域の飲食店が登録申請をすると、店舗前の歩道や縁石ゾーンにオープンテラス席を設置する許可を出している。道路に面していない店舗に対しては、一部の道路で車両乗り入れを禁止したオープンストリートを作り、そのエリアでの屋外出店を促している。



さらに、カリフォルニア州は、店舗内での感染を防ぐ目的で、2020年7月13日からレストラン、フィットネスクラブ、理髪店・美容室などの屋内営業を禁止する通達を出している。その代替策として、屋外にテントなどを張り、屋外営業が行えるような規制緩和をしている。同州では入院ベッドや集中治療室のキャパシティが不足しており、感染拡大が認められる業界に対して、「屋内店舗の営業禁止」という強い規制をかけることで、医療のひっ迫を緩和しようとしている。

米カリフォルニア州の公開情報

日本では、米国ほど強制的な行政措置は取られていないものの、店舗内に入ることを消費者が恐れて来店客が激減している店は多数ある。そこに向けては、新たな屋外サービスの形態に切り替えていくことが有効策になる。

【ドライブスルー店舗の開発モデル】

 屋外営業の具体策として、顧客が注文した商品をマイカーに乗ったまま受け取れるドライブスルー方式は、新たな買い物スタイルとして利用者が増えている。

外食産業向けに青果の卸業を営む、株式会社フードサプライ(東京都大田区)が2020年4月からスタートさせている「ドライブスルー八百屋」は、全国7ヶ所(東京、横浜、千葉、山梨、北海度、宮城)にある食品物流倉庫の駐車場を会場として、契約農家から出荷された十数種類の野菜や米を、1箱3,500円と5,000円のセットにして、一般消費者向けに販売している。

ドライブスルー八百屋は、週3日程度の不定期で開催されているが、もともと飲食業者に出荷されるはずだった生鮮品が割安に買えるため、公式サイトでスケジュールを確かめて事前予約した上で、遠方からドライブを楽しみながらマイカーで訪れる消費者が増えている。

ドライブスルー八百屋
■ドライブスルー八百屋の紹介映像(朝日新聞)

同様に、水産卸業の「かいせい物産」でも、フードサプライとの協力によって、中とろマグロセット、ホッケやアジなどの魚干物セット、明太子・たらこ・いくら醤油漬けの魚卵セットなど(各5000円)を販売する「ドライブスルー魚屋」を全国5ヶ所で開催している。東京会場は、かいせい物産の倉庫がある中央区豊海の駐車場で月2~4回行われ、消費者はマイカーから降りずにトランクを開けるだけで、商品を積み込んでもらえる。

ドライブスルー魚屋

食品卸業者にとっては、従来の取引先である飲食店舗からの注文がコロナ禍で減少する中、消費者向けのドライブスルー販売は、新たな販路として期待されている。消費者に倉庫前の駐車場まで来てもらえるため、オンライン販売と比べても商品配送のコストを下げることができ、その分を割安な販売価格として還元することが可能だ。予約注文を受け付けるWebサイトも、大掛かりなECシステムを構築するほどではないため、全国の漁港などにもドライブスルー販売が広がり始めている。

《卸売業者のドライブスルー販売モデル》

コロナ禍では、eコマース(通販)やデリバリー(宅配)の利用率が高まっているが、ドライブスルーはそれに次ぐ、第三の販路として注目されている。米国では、ドライブスルー方式による駐車場での販売手法が「Curbside Pickup(カーブサイド・ピックアップ)」と呼ばれ、スマートフォンによるモバイルショッピングと連携し始めている。

この内容はJNEWS会員レポートの一部です。正式会員の登録をすることで詳細レポートにアクセスすることができます記事一覧 / JNEWSについて

JNEWS会員レポートの主な項目
・想定しておくべき屋内営業禁止の動向
・ドライブスルー店舗の開発モデル
・卸売業者のドライブスルー販売モデル
・米国に広がるカーブサイドピックアップの仕組み
・カーブサイドピックアップによる小売業の変革
・位置情報アプリで進化するドライブスルー店舗
・ポストコロナで成長するアウトドア市場
・プライベートキャンプ場の開発ビジネス
・フランチャイズ化される米国のキャンプ場
・日本のキャンプと車中泊マーケットへの参入方法
・仕事とリゾートを兼ねたワーケーションの休暇スタイル

この記事の完全レポート
JNEWS LETTER 2020.8.8
※アクセスには正式登録後のID、PASSWORDが必要です。
※JNEWS会員のPASSWORD確認はこちらへ


(注目の新規事業)/(トップページ)/(JNEWSについて)/(Facebookページ)

これは正式会員向けJNEWS LETTER(2020年8月)に掲載された記事の一部です。 JNEWSでは、電子メールを媒体としたニューズレター(JNEWS LETTER)での有料による情報提供をメインの活動としています。 JNEWSが発信する情報を深く知りたい人のために2週間の無料お試し登録を用意していますので下のフォームからお申し込みください。

JNEWS LETTER 2週間無料体験購読

配信先メールアドレス

※Gmail、Yahooメール、スマホアドレスの登録も可
無料体験の登録でJNEWS LETTER正式版のサンプルが届きます。
 
Page top icon