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新型ウイルスの二次感染を防ぐ遠隔診療ビジネス動向

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JNEWS会員配信日 2020/2/18

 患者をオンラインで診察する遠隔医療は、医師が不在の過疎地向け医療サービスとして20年以上前から注目されてきたものだ。その後は、スマートフォンの普及により、遠隔医療を安価に実現できる技術は整ってきたが、実際にオンライン診療を行っている医療機関は、日本国内では1%程度と低いのが実情であった。
しかし、新型コロナウイルス(COVID-19)の広がりが、遠隔診療の普及に拍車をかける流れは、世界的に起きている。

中国では、肺炎患者の4割が病院内での感染が疑われていることから、他の国でも、患者の増加に備えて、医師が安全に診察、治療が行える遠隔医療の方法を検討しはじめている。

積極的に遠隔医療の普及を進めているシンガポールでは、各種のオンライン医療サービスが立ち上げっているが、新型コロナウイルスの流行以降は、相談件数が30~70%増となっている。

「Doctor Anywhere」はその一つで、ユーザーはスマホアプリからオンラン診療の申し込みをすると、数分以内に登録されている医師とビデオ通話が繋がり、気になる症状を相談することができる。服薬で対応できる場合は、処方箋が発行されて薬が宅配される他、正式な治療が必要な場合には、該当の専門医宛に紹介状を発行してもらえる。

■Doctor Anywhereの紹介映像

シンガポールでは、国の保健省によってオンライン医療相談が認可されており、現在は11の業者がライセンスを取得した上でサービスを提供している。ビデオ通話による相談時間は5~15分程度で、料金は20~25シンガポールドル(約1,600~2,000円)。ただし、法人契約している会社の従業員は、料金の自己負担無しで相談することができる。※薬代は除く。

《シンガポールのオンライン医療相談サービス例》
Doctor World
WhiteCoat
Sata CommHealth
Doctor Anywhere

また、カナダのオンタリオ州では、「Ontario Telemedicine Network(OTN)」という遠隔医療ネットワークを構築しており、地域の住民はビデオ会議システムで事前に症状の相談をした後、適切な病院の診療予約ができる仕組みを構築している。オンライン相談は、自宅のPCやスマートフォンから行うか、最寄りの公共施設に設置された遠隔診療室で行う方法があるが、いずれも料金は無料だ。遠隔診療室では、遠隔医療のコーディネータ(多くは看護師)がサポートをしながら、専用の機材で患部の詳しい状態を、オンライン上の医師に診断してもらえる。

Ontario Telemedicine Network(OTN)

オンタリオ州の人口は1200万人で東京都と同規模だが、面積は日本全体の約3倍と広大なため、すべての地域に高度な医療機関を整備することが難しく、遠隔医療への取り組みが進んでいる。新型肺炎についても、カナダでは感染者がまだ少ない段階だが、気になる症状が出た場合には、まずオンライン相談の申し込みをすることが指示されている。

一方、日本で遠隔医療の取り組みが遅れているのは、従来の公的医療が対面診療を原則としており、オンラインで行える診療範囲には制約あるためだ。しかし、新型肺炎の広がりを起因として、何らかの規制緩和が行われる可能性は大きい。
2009年に新型インフルエンザが流行した際にも、地域クリニックでの院内感染を防ぐ目的から、電話診療による薬の処方が容認された経緯がある。

新型肺炎の初期治療としても、オンライン診療で二次感染を防げる効果は大きく、10年前よりも、遠隔診療で使えるツール(スマートフォンや健康デバイス)の環境は整っている。本レポートでは、感染被害を防ぐオンライン診療の仕組みやテクノロジー、そこに参入する企業のビジネスモデルと収益構造について解説しています。

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