スマートロックで変化する生活スタイルと不動産投資
現代人は外出の際に鍵を持ち歩くことが習慣になっている。自宅、マイカー、職場の鍵など、少ない人でも3個程度、多い人になれば10個近い鍵を所持している。鍵は財産を守るためのツールであり、大切な所有物には必ず鍵が付いている。
それだけ重要な「鍵」ではあるが、日本の鍵市場は、車載用を除くと、年間500億円前後とみられている。大切なツールのわりに市場規模が小さいのは、鍵は建物が新築された際に取り付けると、その後の交換需要が少ないためである。賃貸物件で、入居者が入れ替わる際の鍵交換でも、費用は10,000円~15,000円で、それほど高いわけではない。日本の鍵メーカーでは、美和ロック(1945年創業)とGOAL(1914創業)の2社で、国内シェアの9割以上を長らく握っている。
しかし、鍵の仕組みは電子化された機構へとシフトすることで、建物全体のセキュリティや家電製品までを集中管理するスマートホームや、24時間型フィットネスクラブのような、新業態の無人サービスを生み出すことも可能になってきている。そのため、世界では大手の鍵メーカーが、関連のテクノロジー企業を買収する形での業界再編が起きている。
鍵業界の再編が加速している背景にあるのは、次世代の鍵システムは、物理的な錠前の機構と、ソフトウエアによる鍵の制御システム(スマートロック機能)を組み合わせたものになることが関係している。
錠前の機構については、老舗の鍵メーカーが独占的な特許技術を保有しており、異業種から鍵市場に参入する場合には、その権利を獲得する必要がある。鍵メーカーにとっても、自社の技術とスマートロック機能を融合させることで、従来のビジネスモデルを飛躍させたいと考えている。
たとえば、2017年からアマゾンが米国市場で運用を開始している「Amazon Key」は、Spectrum Brands社が子会社としている鍵メーカー「Kwikset」の製品を利用したスマートロックシステムで、プライム会員のユーザーは自宅の玄関ドアにAmazon Key対応の錠前キットを取り付けることで、不在時でも宅配便の荷物を安全に受け取れるようにしている。
配達員は商品に記載されたバーコードをスキャンすると、住人が不在時でも玄関ドアが自動的に解錠される仕組みだ。キットには、クラウドで録画データが記録される防犯カメラもセットにすることで、配達員の不正を抑止している。AmazonKeyのスマートロックシステムは、荷物の配達だけでなく、ホームクリーニングやペットシッターサービス業者の利用にも活用することができる。
■Amazon Keyの紹介映像
このように、鍵の仕組みや活用方法は進化しており、事業者の立場からも、アイデア次第で多様な新サービスを生み出すことができる。入室管理の接客対応に人件費をかけてきた業種では、スマートロックによるサービスの無人化を実現できるようになるし、物理的な鍵を使わないスマートキーでは、マイカーの所有形態にも変化が生じることになる。本レポートでは、日本でも考案されはじめているスマートロックを利用したビジネスの動向を特集しています。
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■JNEWS会員レポートの主な項目
・スマートロックで変わる不動産投資の形
・無人管理されるシェアオフィスの方向性
・セルフ内覧による賃貸物件の稼働率向上策
・スマートロックによる賃貸物件の内覧システム
・バーチャルキーで変わる車の所有形態
・社用車の従業員向けカーシェアリング
・使用権と収益権を両立させる新オーナーシップ
・ネット社会で拡大するデジタル資産の価値と遺産相続
・スマートロックを活用したオーナービジネス立ち上げ
■この記事の完全レポート
・JNEWS LETTER 2019.11.15
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