無店舗で起業する料理人向けレンタルキッチンの開発
起業者の中で飲食業を手掛ける人が多いことは、昔も今も変わってない。日本国内には約60万件の飲食店があり、その中の3割は5年以内に閉店する厳しい業界ではあるが、食事は人間にとって必要不可欠なものであり、美味しいものを食べることは、人生の喜びでもあるため、店舗やサービスの形態は変化しながら新たな起業者が飲食業に足を踏み入れている。
日本政策金融公庫が毎年行っている「新規開業実態調査」の2018年版では、趣味や特技を生かした「趣味起業家」の属性をクローズアップしているが、その中でも飲食業は、最も人気の高いカテゴリーになっている。マイナビが20~60代の男女を対象に行った独立・開業の意識調査(2019年)でも、41.3%が起業に「興味がある」と回答しており、その中で「飲食業」は、すべての年代から最も人気が高い職種となっている。
■趣味起業家の実態と課題(日本政策金融公庫)
料理が好きな人にとって、飲食業は自分のスキルを活かすことができ、顧客からの「美味しい」というダイレクトな反応が得られるのが人気の理由である。自分の店を持つには500~1000万円以上の資金がかかるのがネックとなっていたが、最近では、移動販売、屋台、デリバリー、ポップアップ店舗など開業資金を抑えたスモールビジネスとしてチャレンジできる形態も増えてきている。
米国では、フードトラックやフードデリバリーアプリを利用した飲食ビジネスの変革が10年程前から起きているが、その流れは日本にも波及している。たとえば「TLUNCH (トランチ)」は、日本で展開されるフードトラックの出店仲介プラットフォームで、移動販売の起業者と出店場所に適した、商業施設やオフィスビル周辺の余剰スペースを仲介するサービスを行っている。起業者は月々固定の家賃や駐車場代を払う必要は無く、売上の15%をスペース利用料として払う方式だ。
また、Uber Eatsを利用したデリバリーサービスの専業店として、厨房設備のみで営業をする「バーチャルレストラン」や「ゴーストレストラン」と呼ばれる形態も出てきている。従来型のレストラン(固定店舗)は、店内で食事をするためのスペースと接客スタッフの人件費が、経費の大きな割合を占めていたが、それを省けるために、小資本ローリスクでの開業ができる。
ただし、デリバリー注文の売上に対して35%の手数料をUber Eatsに対して払う必要があるため、そこから食材原価、厨房スペース、料理人の人件費を差し引いても、利益が残ることを意識した事業計画を立てていく必要がある。
飲食サービスが多様化する時代には、飲食業者の新規参入と撤退の循環サイクルがこれまでもよりも早くなるが、そこで安定した収益を得られる立ち位置のビジネスとして「レンタルキッチン(レンタル厨房)」の業態が注目されている。どんな飲食サービスでも商用として行うには、保険所の設備基準に則った業務用厨房で調理をする必要があり、それをオンデマンド型で提供するビジネスは、副業者を含めた飲食開業者からのニーズが高まっている。
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■JNEWS会員レポートの主な項目
・フードデリバリー起業者向けゴーストキッチン
・キッチンインキュベーターの役割と採算構造
・キッチンインキュベーター施設の人員、収益、会員数
・低所得者の起業を支援するフードホール事業
・地域住民が参加するコミュニティキッチン
・コミュニティキッチンの運営スタイル
・日本にも広がるレンタルキッチン賃貸の副業
・飲食業の業態転換を促す、未来の食事スタイル
・賞味期限切れ食品を捨てないフードロス対策と子ども食堂
・eフードビジネスによる中小飲食店の生き残り策
■この記事の完全レポート
・JNEWS LETTER 2019.10.16
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