「道の駅」は、各地域の自治体が運営母体となっているケースが大半のため、個人事業者も安価な条件で出店できる。フリーマーケットを開催している道の駅もあり、副業者のローカルビジネス拠点にすることができる(JNEWSについてトップページ
「道の駅」出店によるローカルビジネスの起業

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JNEWS会員配信日 2019/9/28

 ネットとリアルの両方で販路を作る「オムニチャネル戦略」は、大手のECサイトだけのものだけでなく、副業者のローカルビジネスとしても実行することは可能である。ハンドメイドで制作した商品を、地元のフリーマーケットで出品販売するのと同時に、ヤフオクやメルカリで販売することも、立派なオムニチャネルであり、ネットのインフラが普及している現在では、リアルで有意義な販売拠点を持つことのほうが重要になる。

そのローカル拠点として活用できるものに「道の駅」がある。国道など一般道の休憩施設として、1993年頃から全国に整備されている「道の駅」は、現在では1,160ヶ所にまで増えている。その運営母体は98%が地域の自治体(市町村)となっている。道の駅には、駐車場やトイレの他に、農水産物の直売所、レストラン、土産物の売店、温泉施設、美術館など、その地域の特色を活かした施設を誘致することで、各自治体は新たな観光拠点に育てようとしている。

《道の駅の運営母体(設置者)》

道の駅の集客力は、各施設によっても異なるが、成功例として、人口が3,700人の群馬県川場村が1996年に開業した「道の駅・川場田園プラザ」には年間で約120万人が訪れており、その中の7割はリピート客として定着する。園内には、地域で収穫された野菜や果物、加工食品が購入できるファーマーズマーケット、ミルク工房、ミート工房などがある他、ブルーベリーの収穫が体験できるブルーベリー公園、本格的な食事も楽しめるレストラン、日帰り温泉としても利用可能なホテルも併設されて、観光客が1日楽しめる施設となっている。

川場田園プラザ(群馬県川場村)

また、山口県萩市にある「萩しーまーと」は、隣接する萩漁港で早朝に水揚げされた鮮魚が購入できる道の駅として人気が高い。年間来訪者は約140万人で売上高は約10億円。その中で水産物の売上げが5割(5億円)を占めている。売り場の面積単価でみた売上高は、一般的なスーパーの2倍となっており、道の駅が、ドライバーの休憩施設としてだけでなく、地域経済を活性化させる商業施設として機能することを実証している。萩漁港にとっても、道の駅経由の売上は、漁港全体の15%にまで伸びており、新たな産直販売ルートになっている。

萩しーまーと(山口県萩市)

このように「道の駅」は、大きな集客力を持ち始めているが、地域の生産者や小売業者に対して出店の門戸が開かれているのが特徴である。米国では、公園や駐車場を会場とした「ファーマーズマーケット」と呼ばれる青空市場の開催から、ローカルフードのムーブメントが起きているが、日本では、道の駅を起点としたローカルビジネスを展開することも、起業の足掛かりになる。

その他にも、リアルビジネスとして個人、中小の事業者が出店できるマーケットプレイスの開発は、企業にとっても新規の事業テーマになる。ネットでは、メルカリのように個人が出品販売できるマーケットプレイスが急成長しているが、消費者にとっては、リアルで開催される会場の中でも、掘り出し物を探すことが「新たなショッピング体験」として人気化しているためだ。

全国各地の「道の駅」は、自治体(市町村)が公的予算を投じて設置をしているが、実際の運営は、自治体が直接行う方式と、自治体と民間との共同出資による第三セクター方式、指定管理者を選定して委託する方式などに分かれている。 この運営にあたる事業者や団体のアイデアや経営努力により、集客力には大きな差が生じている。

そのため、消費者に「道の駅を訪れたい」と思わせる商品やコンテンツを誘致することには積極的であり、出店条件も緩やかになっている。条件の詳細は、各施設によって異なるが、農産物や物産品の販売コーナーには、個人事業者でも委託販売方式で商品を出品することが可能で、初期費用はかからず、売上高に対して平均で15~20%の手数料を払う方式だ。本レポートでは、地域の「道の駅」を活用したスモールビジネスの展開方法を特集しています。

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JNEWS会員レポートの主な項目
・道の駅のビジネスモデルと出店方法
・道の駅出店とeコマースの連携モデル
・道の駅運営者向けeコマース機能の仕組み
・米国ローカルフード市場とeコマース直販の動向
・古着の付加価値を高める委託販売ビジネス
・新たな買い物体験として人気化する古着探し
・古着を専門とする委託販売店舗のビジネスモデル
・ファッショントラックによるアパレルの売り方
・Z世代から支持される新興ブランドと小売店の役割
・フリーマーケットを起点とした小売ビジネスの新形態
・返品対応を円滑にするクリック&コレクトの新業態開発

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