売掛金を買い取るファクタリングサービスの役割と仕組み
商売の世界には、昔から「勘定合って銭足らず」という言葉がある。これは、売上は順調に推移しているにも関わらず、手持ちの資金が一時的にショートしてしまう状況のことを指す。原因は、商品が売れるのと、実際に代金回収できるまでの間にはタイムラグがあるためだ。法人相手の取引であれば、請求書を送付した後、代金が振り込まれるまでの期間(支払いサイト=支払い猶予期間)は短くても1ヶ月、長ければ3ヶ月を超すこともある。
支払いサイトの長短は、業界の商慣習や決済手段によっても異なるが、最も長いのは「手形」である。昔よりは少なくなったが、製造業では、大手メーカーと請業者との間で手形決済が今でも行われており、その支払期日は 90~120日となっている。
たとえば、「20日締め翌15日支払い」の大手メーカーとの取引で、支払期日3ヶ月後の手形が発行されると、下請業者が売上金を回収できるのは、納品から4ヶ月以上先のことになる。
大手のメーカーであるにも関わらず、このように支払いサイトが長いのは、金融上のテクニックでもある。メーカーにとって、支払いサイトを長くすると、その分だけ手持ち資金を温存することができ、キャッシュフローは好転する。そのため、メーカーが不況に陥った時には、下請業者に降り出す手形の支払期限を、従来よりも長くすることは、よく行われている。
下請業者側は、その分だけ資金繰りは厳しくなるが、取引が中止されてしまうよりは良いと考えて、メーカー側の条件を受け入れるしかない。そのため、仕入原料の支払いや、従業員の給料支払いなどで、運転資金は不足しがちとなり、融資に依存する傾向が高くなる。
一方、現金取引の商売は、納品と代金回収のタイミングが同じため、その日の売上金を、業者等への支払いに充てることもできる。しかし、今後はキャッシュレス決済の取引が増えるため、中小の商売でも、数ヶ月先までの資金繰りを考えていく必要が出ている。そこで急速に増え始めているのが、事業者が保有する請求書(売掛金)を買い取り、現金化する金融サービスで、「ファクタリング」と呼ばれている。
古くから存在する仕組みだが、ネット上の取引が増える中で、事業者のオンライン口座と直結した、売掛金の買取りも可能になるため、新たな貸金業として、Fintech企業や銀行各社が参入しはじめている。ファクタリングは、既に取引先からの入金日が確定している売掛債権に対して、買い取りや融資を行うため、貸し倒れのリスクは低く、安定した手数料を稼げるためである。
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■JNEWS会員レポートの主な項目
・アマゾンセラーの代金回収サイトと資金繰り
・アマゾン出品者向けファクタリングサービスの仕組み
・売掛金を前借りできるファクタリングサービス
・従来型ファクタリングの取引形態とFintech参入の視点
・ファクタリング機能付き請求業務代行ビジネス
・フリーランス向けファクタリング口座の活用方法
・新たな金融業としての電子ファクタリング市場
・多様化する貸金業とアマゾンの貸金ビジネス
・アナログからデジタルにシフトするローン督促ビジネス
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・JNEWS LETTER 2019.7.17
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