動画コンテンツはYouTubeだけでなく、Instagram、Twitterのソーシャルメディア全体に広がっており、動画コンテンツとの相性で、投資収益率(ROI)の高い媒体が選定されるようになっている(JNEWSについて
動画を集客ルートとしたビデオコマースの投資収益率

JNEWS
JNEWS会員配信日 2019/5/20

 消費者の買い物スタイルは実店舗からeコマースへ、その中でもPCからモバイルへ移行しているのは周知の通りだが、価格重視の消費者が圧倒的に増えてしまったことは弊害でもある。その傾向は、「消費者意識基本調査(消費者庁)」の結果からも把握することができる。

平成29年度に1万人の消費者を対象に行われた同調査では、「商品やサービスを選ぶときに意識する項目」として、価格条件は全体の90%が強く意識しており、広告やポイントカードや景品等の特典よりも遙かに高い。最近では商品の機能やレビューもスマホから手軽に調べられるため、商品知識が無いまま、深く考えずに衝動買いをする消費者も減少している。

《商品やサービスを選ぶ時に意識する項目》

こうした“価格”に傾倒したeコマースサイトの購買特性は、ネットの集客経路とも関係している。検索エンジンの性能が飛躍的に向上したことで、独自ドメインのeコマースサイトでは、サイトを訪れる新規ユーザーの7~9割は検索エンジンルートとなっているのだ。ソーシャルメディアは、固定客との信頼関係(エンゲージメント)を高め効果があっても、SNS上でユーザーとの関係が完結してしまうため、サイトへの誘導ルートとしては意外と低いのが実態である。

《独自ドメインサイトの集客ルート(例)》

しかし、若い消費者の中では、新たなショッピング体験を求める志向も強いことから、eコマースサイトは斬新な販売手法を試すことで、商品の売上げを伸ばしていくことは可能だ。具体策として挙げられるのは、動画コンテンツの活用である。米国では、無在庫でeコマースができるドロップシップの副業が流行っているが、その商材を仲介するプラットフォーム「Oberlo」のレポートも、これからの販売者にとって、動画の活用が重要であることは言及されている。

ネットユーザーの85%は動画コンテンツを常時楽しんでおり、その中でも25~34歳は、特に動画の視聴率が高い世代である。また、消費者の54%は自分が支持しているブランドの動画を見たいと考えている。動画を視聴するプラットフォームは、YouTubeだけでなく、Facebook、Instagram、Twitterのソーシャルメディア全体に広がっており、実際にビデオマーケティングを行った企業担当者への調査でも、88%が動画コンテンツの投資収益率(ROI)には満足している。

10 Video Marketing Statistics for 2019(Oberlo)

こうした時代背景の中で、今後の小売業者は、動画コンテンツを効果的に活用していくことが、競合他店との差別化や、優良な顧客を獲得することに役立つことは間違いない。

eコマースと連携した動画の活用例として、韓国、中国、東南アジアではビデオのライブストリーミング(生中継)による商品販売が2017年頃から人気化している。消費者にとっては、テレビショッピングの番組よりも身近な存在で、気になるショップのライブ配信を視聴しながら、その中で紹介される商品が欲しいと思えば、画面上の注文ボタンから購入手続きをするスタイルである。

ただし、どんな動画コマースの手法が消費者から支持されるのかは、その国の文化や国民性によっても異なる面があり、中国での成功ノウハウが他国でも通用するわけではない。その点で日本の小売業者は、欧米や中国の動向を踏まえながらも、日本の消費者に適した動画コマースのノウハウを開拓していく必要がある。

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JNEWS会員レポートの主な項目
・中国で成長するライブコマースの販売手法
・日本からの越境コマース参入モデル
・インフルエンサー委託型越境コマースの仕組み
・日本でライブコマースが流行らない理由について
・動画広告の集客効果とエンゲージメント
・テレビCMから移行するSNS動画広告
・カテゴリー別インフルエンサーの報酬単価
・職業として考えるインフルエンサーの生産性と収益構造
・人工知能で消費者の気持ちを読み取る顧客体験マネジメント
・Z世代からシェアされる「インスタ映え店舗」の開発
・Z世代インフルエンサーを活用したマーケティングビジネス

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