レンタル家具付き賃貸物件への投資と家具業界再編
できるだけモノを持たないミニマリストの価値観が浸透する中で、所有形態が変化しているものに「家財道具」がある。海外では、人気の高い賃貸アパートの条件として、家具付きの物件であることが上位に挙げられている。背景にあるのは、仕事の形態やライフスタイルの変化により、1~2年以内に引っ越しを繰り返す人が増えて、家財道具を保有することが重荷になっていることだ。
だからと言って、部屋のインテリアに興味が無いわけではない。世界の大都市で開発されている高級アパートメントには、ベッド、ソファ、ダイニングセット、寝具、テレビ、電子レンジなどの家財道具が完備されて、部屋の雰囲気を高めるコーディネートがされている。こうした物件は空きが出ても、すぐに次の借り手が決まりやすい。
家賃の中には、家具のレンタル代も含まれるため割高な設定だが、仕事の都合により、短期で引っ越しをする可能性があるビジネスパーソンは、家具の移動や廃棄にかかる手間とコストを考えて、家具付き物件を選ぶ傾向が高くなっている。
一方、大家の立場では、物件を家具付きにして、短期滞在予定の入居者を効率的に回転させることで、高い投資利回りを実現することができる。そのため、家具付き物件の投資対効果(ROI)については、多方面の角度から採算性が分析されるようになっている。
ドイツの新興企業が運営する「Nestpick」は世界の大都市にある家具付き賃貸物件を専門に検索できるサイトで、「Furnished Apartment Index(家具付きアパートインデックス」という指標を算定している。それによると、サンフランシスコ、ニューヨーク、ロンドンなどでは、家具付き物件は、家具無し物件よりも5~10%高い家賃設定で提供されている。
世界で家具付きアパートが増えている要因としては、IKEAのような家具量販店の台頭が大きいと言われている。安価でデザインも洗練されている家具を上手にコーディネートすることにより、単身者向けの1ルーム物件ならば約1,500ドル(約16万円)、ファミリー向け物件でも4,000ドル(約45万円)以内の予算で、センスの良い部屋を作ることができる。
家具付き物件は、不動産情報サイトの中に掲載する中でも、入居者が新しい生活をイメージしやすいため客付きが良い。また、空室が生じてもAirbnbで収益化することも可能なため、不動産投資家にとっても、新たな投資対象になっているのだ。
■1ルームアパートのコーディネート例(IKEA)
翻って、日本の伝統的な家具業界は衰退の一途を辿っている。日本家具産業振興会の統計によれば、全国に家具小売業者の数は1970年代に2万2千社あったのが、現在では6千社にまで減少している。嫁入り道具として、高級家具を揃える慣習が無くなりつつあるように、「家具=資産」という考えは過去のものとなり、消費者は、できるだけローコストでインテリアを楽しみたいという価値観へと変化している。
そこに向けては、レンタルサービスを起点とした家具業界の再編を仕掛けていくことも可能だ。今回のレポートでは、海外で成長しているレンタル家具プロバイダーのビジネスモデルを解説しながら、日本での参入ポイントを探っていきたい。(この内容はJNEWS会員レポートの一部です。正式会員の登録をすることで詳細レポートにアクセスすることができます → 記事一覧 / JNEWSについて
■JNEWS会員レポートの主な項目
・法人需要を開拓する家具付き賃貸物件投資の手法
・賃貸物件向けレンタル家具プロバイダーの役割
・レンタル家具プロバイダーによる家具業界再編の動向
・不動産物件の売買価値を高めるホームステージング
・付帯サービスで付加価値を高める米国の不動産投資動向
・所有からペイ・パー・ユースに変わる家電の利用形態
・狭小化する大都市の生活スタイルとCost-of-Living
・職住近接で求められる単身者向けマイクロアパートメント
・高齢者の住み替えをサポートするシニアリロケーション
・遊休不動産の価値を高めるインテリアコーディネート仲介
■この記事の完全レポート
・JNEWS LETTER 2019.4.16
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