年収が高い女性ほど、仕事の時間を割いて家事に費やす時間の損失額は高くなる。そこで自分で家事をするよりも専門の代行業者に任せようとする価値観が高まっている。(JNEWSについて
働く女性の価値算定で浮上する家事代行ビジネス

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JNEWS会員配信日 2019/3/30

 一日の中で、炊事・洗濯・買い物などの家事に費やしているのは3時間が平均値。これは家族構成によっても異なるが、結婚している主婦の場合には4.55時間と、夫が家事を分担している平均時間(0.49時間)よりも、はるかに長い。

家事労働の大半は、無償で毎日行われているものだが、これを経済価値に換算するといくらになるか、というシミュレーションは、各国で行われるようになっている。内閣府が算定したデータによると、日本の女性が行っている年間の家事労働は1,313時間で、その金銭価値は193.5万円と算定されている。時給換算すると約1,400円/時になるが、この単価の求め方は、同じ時間を、会社で働いた場合に得られる賃金の機会損失に基づいている。

近年では、女性の社会進出が進み、労働単価も昔より高くなっているため、主婦が行う家事労働の金銭評価額も上昇することになる。高度成長期だった35年前と比べても、日本の家事労働価値は3倍近く高くなっている。

《家事労働の評価額価推移(日本)》

《家事労働の金銭評価内訳(2016年)》


働く主婦の家事労働は、年収が高い女性ほど単価評価は高くなる。たとえば、年収600万円の女性は時給単価が約2,800円、年収800万円は時給3,700円となり、自分で家事をするよりも、外部のサービスを効果的に利用したほうが、トータルでみた労働生産性は高くなる。こうした考えは、海外のエリート女性の中から浸透してきており、家政婦を雇ったり、ハウスキーピングサービスを利用したりすることは一般的になっている。

夫婦間の家事分担にしても、日本は先進国の中で最も夫の家事時間が最も短くて、調理器メーカーのリンナイが、世界5ヶ国(日本、韓国、米国、ドイツ、デンマーク)で行った共働き世帯の意識調査でも、夫が家事を分担している割合が、日本は最下位となっている。

《妻と夫が家事分担している世帯の割合》

一方、米国では家庭内の家事分業が進んでいるが、夫婦共に仕事が忙しい世帯では、家事に十分な時間が割けなくなる問題が生じてくる。子どもが発熱した時にも会社を休めなかったり、必要な睡眠時間を削ってまで、毎日の炊事や洗濯を行うような状況は、「ワーク・ファミリー・コンフリクト」と呼ばれ、それを是正する目的で、家事代行サービスへのニーズが高まっている。特に20~30代の若い世帯ほど、家事代行を利用することの抵抗感は低い。

日本でも、家庭形態は変化していることから、共働き世帯、単身世帯、高齢者世帯、という3つの属性において家事代行サービスへのニーズは高まっていくことが予測されている。そこで、ダスキン、イオン、パソナ、ニチイ学館など、大手企業もこの市場に本格参入しはじめている。しかし、家事代行はもともと、小回りの利く個人事業者に適した分野であり、大手よりも付加価値の高いサービスを手掛けることが可能だ。

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・人件費からみた家事代行業の採算
・外国人材が牽引する日本の家事代行業
・付加価値を高める料理代行サービスの仕組み
・スモールビジネスとしての家事代行業への参入方法
・ローカルに細分化するシェアリング経済
・クローン化して広がるシェアリングサイトの構築モデル
・ボランティアワーカーを動かす報酬インセンティブの作り方
・技術実習制度を起点とした外国人労働者仲介ビジネスの表裏
・ギグ・エコノミーで形成されるオンデマンドワークの功罪
・シェアリング経済で豊かに暮らすネオシェアラーへの成長過程

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