紙幣廃止で起きる電子マネーデノミネーション
JNEWS会員配信日 2019/2/18
「お金」といえば、5千円札や1万円札のことを指すが、それも過去の遺産へと変わっていくのかもしれない。いま巷で騒がれている「キャッシュレス決済」のトレンドは、世界各国の政策とも関連性がある。
発端となっているのは、脱税やマネーロンダリング、偽札などへの対策である。
現金は、自分の名前を伝えることなく、自由に使えるのがメリットではあるが、犯罪で悪用されやすい決済手段でもある。そこで、高額紙幣を廃止したり、発行量を制限したりする動きが世界で加速している。
たとえば、デンマークでは2017年1月に紙幣と硬貨の発行を既に中止しており、2030年までには現金での支払いをすべて無効化する計画を発表している。その代わりとして、キャッシュレス決済の普及が推進されており、現在でも75%の国民が、クレジットカードやモバイル決済による買い物をしている。
通貨の発行元は各国の政府であるため、現金を廃止することは意外と実現させやすい。高額紙幣の新規発行量を段階的に減らしながら、市中に出回っている紙幣は、銀行に預金されたものを中央銀行が回収して、再流通させないようにすればよい。希少になった紙幣にはプレミア価値が付くかもしれないが、何年か先には無効になることを政府が宣言すれば、現金を保有し続けたい者は居なくなる。
政府は脱税対策として、現金取引を無くすことにより、商品やサービスの売買履歴をすべてデジタルで追跡できるようにすることが、キャッシュレス社会を推進する目的である。それに付随して、金銭が絡んだ犯罪の減少や、企業や個人事業者の経理作業が簡素化できるなどの利点もある。
日本では、市中に流通している現金(紙幣)が約107兆円もの規模になる。日本全体の経済活動を示すGDP(557兆円)に対して20%の割合で、世界の先進国で最も現金取引率が高い。良く言うとこれは、日本円通貨の信頼性が高いことの裏付けでもある。
しかし、世界の流れに逆行して、日本だけが“現金主義”を貫けば、日本円が不正取引の温床になってしまう懸念もあることから、キャッシュレス決済の普及はは、抗うことができない時代の流れといえる。
その中では、現金から電子マネーへの移行が急速に進むことになり、日常の買い物に限らず、資産を形成していく上でも、消費者は「お金に対する価値観」を大きく変えていく必要がある。これは、現代の新たなデノミネーションともいえる転換点であり、電子マネーの機能や利点を十分に理解して賢く利用する者が、新たなエリート層として台頭してくることになる。
中小の店舗にとっても、キャッシュレス決済の導入は、新たな顧客を集客して売上を高められる効果が期待できる。一言でいうと、キャッシュレス決済の店舗には、現金客よりも客単価が高くて、買い物リテラシーの高い優良顧客が集まる傾向がある。本レポートでは、そんなキャッシュレス・エリート層の購買特性について詳しく解説しています。(この内容はJNEWS会員レポートの一部です。正式会員の登録をすることで詳細レポートにアクセスすることができます → 記事一覧 / JNEWSについて
■JNEWS会員レポートの主な項目
・財布を持たないキャッシュレス社会の輪郭
・子ども向け決済カードによる金銭教育
・キャッシュレス化で問われる買い物リテラシー
・国内向けの主なQRコード決済について
・キャッシュレス消費者の購買特性と貯蓄高
・電子マネー給与で形成される新経済圏
・電子マネーによる給与支払いの流れ
・日本で始まる情報銀行による信用取引の形
・店舗の自動化と集客を促すキャッシュレス決済
・人件費を軽減するセルフサービスと無人店舗の新業態
・銀行店舗に代わるモバイルバンキングとAIアシスタント
■この記事の完全レポート
・JNEWS LETTER 2019.2.18
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