製品を売るのではなく、利用回数に応じて料金を課金するPay-per-use型のビジネスモデルは、洗濯機や食器乾燥機など家電製品に導入されはじめて、モノを所有したくないミニマリストの消費者から支持されている (JNEWSについて
所有からペイ・パー・ユースに変わる家電製品の利用形態

JNEWS
JNEWS会員配信日 2019/2/10

 一人暮らしや結婚で新生活をするのに家電製品は必需品だが、必要な道具を一式揃えるとなると、少なくとも数十万円はかかる。しかも、引っ越しの度に家財道具を移動させる運送代も高いため、最近では、できるだけ家電製品を所有しないミニマリストが増えている。

そうした時代の変化に対応した、新タイプの家電製品を開発しているのが、2013年にオランダで創業した「Bundles」という会社で、洗濯機、乾燥機、食器乾燥機、コーヒーメーカーなどの製品を、“売る”のではなく、使用回数に応じた利用料金を課金する方式で提供している。その仕組みは、製品の中にインターネット経由で利用状況を管理できるデバイスを組み込むことで、契約者が製品を毎月どれだけ利用しているのかを計測している。

そのため、製品本体は無償で提供して、使用回数に応じて料金を課金する、ペイ・パー・ユース型のビジネスモデルを実現させている。たとえば、同社のドラム式洗濯機「Miele Wassen Luxe」には、変動プランと定額プランによる2種類の月額利用コースが用意されている。


変動プランは、毎月の定額料金と、洗濯1回につき0.4ユーロ(約50円)の従量料金が加算されるコースで、月間の洗濯回数が少ない世帯に適している。それに対して、定額プランは固定料金を払えば、従量料金は加算されないため、洗濯を毎日する世帯では、こちらのほうが、洗濯1回あたりの利用料金は割安になる。どちらのコースでも、洗濯機の故障修理やメンテナンスにかかる費用は、利用料金に含まれている。

この利用契約は随時解約することができるが、使用期間が5年未満の場合には、89ユーロ(約1.1万円)の撤去費用をユーザーが負担する必要がある。ただし、賃貸アパートで次の入居者やルームメイトに契約を引き継ぐこともできる。洗濯機の平均使用年数は約10年と言われているが、Bundles社のビジネスモデルでは、5年以上の利用で、好採算になるように設計されている。

《ペイ・パー・ユース洗濯機の料金設定》

Bundles
■サービスの紹介映像


これと同様に、ペイ・パー・ユース型のビジネスモデルは飲食業の厨房機器にも導入されている。業務用の食器洗浄機メーカーとして欧州トップのシェアがあるWinterhalter(ウィンターハルター社)は、「Pay per Wash」という新サービスを立ち上げている。同社の食器洗浄機は、新品で50~100万円以上するものだが、これを無償でレンタルして、利用回数による課金をするのがPay per Washプログラムである。

食器洗浄機を無償レンタルした飲食業者は、同社のサイトにアクセスして、洗浄機を動かすためのポイントをクレジットカード決済で購入する。そのポイントコードを洗浄機に入力すれば、ポイント分だけ利用できる仕組みである。このプログラムは、資金との兼ね合いで、食器洗浄機の導入に迷っている中小の飲食店向けに開発されたもので、Pay per Washでの利用を数年続けた後にマシンを買い取ってもよいし、そのままPay per Wash方式で使い続けることもできる。

飲食業者にとって、食器洗浄機は皿洗いの人件費を軽減できる効果が期待できるが、実際の洗浄能力は、店で使ってみないとわからない。そのための試用期間としても、Pay per Wash機能は有効に作用している。

Pay per Wash公式サイト(Winterhalter)

《業務用食器洗浄機のペイ・パー・ユースモデル》

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