3Dプリンターを活用した製造業は最終工程で熟練工による仕上げが必要になるため、零細工場の事業転換モデルに適している。海外では医療部材や航空機エンジンなどで、3Dプリンターによる部品製作が進んでいる(JNEWSについて
3Dプリンターを活用した零細工場のビジネスモデル転換

JNEWS
JNEWS会員配信日 2018/11/26

 中小の下請工場で作られる部品の加工費は、1個あたり数円から数十円の単価である。その作業を毎日積み重ねることによって、従業員の給料や銀行融資の返済をしていかなくてはいけない。しかし、親メーカーからコストダウンによる単価引き下げの指示が出れば、数円の利益さえも失われてしまうため、工場の経営は成り立たなくなってしまう。そうして、従業員が10名未満の零細工場は20年前と比べて、5割近く減少している。

一方で、工作機械のダウンサイズ化とICT化が進む流れは、新たなスモール製造業の可能性を広げている。旋盤機やフライス盤などの機械も、近年では小型化が進み、個人のホビー用としても購入できる製品も増えてきている。


その中でも、3Dプリンターは、樹脂を熱で溶かしながらノズルから押し出し、造形物を出力するFDM方式(熱溶解積層方式)の機種が、家庭用として10万円以下で各種発売されるようになっている。さらに外部の3Dプリント出力サービスを利用すれば、アルミやステンレスなどの金属を素材とした作品を出力することもできる。

既に海外では、「Etsy」などのマーケットプレイス上で、3Dプリンターによる作品が多数販売されている。自分がデザインしたアクセサリー、玩具、模型などを3Dプリンターによって収益化することは、個人のスモールビジネスとして成り立つようになっている。

しかし、3Dプリンターだけで高精度な作品を作れるというわけではなく、出力された造形物を手作業で仕上げていく工程が、付加価値の高い製品にするための急所になる。たとえば、レストランや食堂の入り口にメニュー見本として置かれている樹脂製の料理サンプルは、職人の手作業で作られているものだが、これと同レベルのものを、現状の3Dプリンターだけで作ることは難しい。

その点では、3Dプリンターと日本の職人技術を融合させることにより、世界でトップレベルのクオリティを達成したモノ作りすることは可能である。問題は、その製造技術をどの分野に着目して活かすのか、という部分になる。


※3Dプリンターで製作された航空機エンジン(GE Aviation)

3Dプリンターを活用した製造業は、「Additive Manufacturing(付加製造法)」として注目されている。材料を削って加工したり、金型を使うのではなく、設計データに基づいて3Dプリンターが原料を積層して造形するのが付加製造の技術となるため、小ロットかつ高精度の部品が使われる、販売単価の高い製品作りに適している。欧州や米国では、その技術が活かせるニッチ市場を発掘した新興のスモールメーカーが多数立ち上がってきている。彼らがどこに着目しているのかを理解することは、日本の零細工場が下請け構造から抜け出して、ビジネスモデルを転換するためのヒントになる。

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