産業用ドローンビジネスの販路とディーラー網
日本でドローン(無人飛行機)に関する法的ルールが整備されたのは、2015年12月(航空法の改正)のことで、ドローンを飛ばすための条件やエリアの棲み分けが行われるようになった。それに伴い、正式な申請手続きをして、ドローンビジネスに参入する企業は着実に増えてきている。
航空法改正後の2年間で、国土交通省に対して提出されたドローンの飛行許可申請は31,700件以上ある。申請の方法には、飛行する日時と経路をその都度申請する「個別申請」と、複数回または定期的な飛行を目的として、飛行エリアの範囲や条件を届ける「包括申請」の2種類があるが、申請案件の95%は後者のほうである。また、飛行の目的では、空撮・測量・インフラ点検が全体の6割近くを占めている。
飛行申請をする企業や団体にとっても、ドローンビジネスは模索中の段階だが、建設現場の空撮や測量、ビルの屋上・太陽光発電などの保守点検などでは、事業化の目処が立ち始めている。
※産業用ドローンとして活用される「DJI MATRICE 200」
その中でも、ドローンによる測量サービスでは、カメラによる空撮映像や、レーザー測距による位置情報の点群データを収集して、ソフトウエアが分析加工することにより、現場の3D図面を自動作成することが可能になる。それにより、建設や土木の現場では、従来よりも正確な工事計画を立て、工期の短縮や総工費の削減にも役立てることができる。
ドローンによる土木測量は、国が発注する公共工事の仕様として標準化されることが確定的となっており、国土交通省の下部組織にあたる国土地理院が、測量精度を均一に保つための基準となるマニュアルの作成を進めている。
そうしたドローンの産業利用に伴い、企業や自治体、教育機関などの団体に対して、ドローンの販売やカスタマイズ、メンテナンス、パイロットの育成、事故に備えた保険制度など、ドローン市場の業界構造が形成されはじめている。これは、自動車市場で形成されている、車両の販売から整備、故障や事故のサポートまでに対応する業界システムと似たものと捉えるとわかりやすい。
機体を購入するだけならば、ネット通販で入手することも可能ではあるが、企業がドローンを活用した事業を立ち上げるには、法令遵守や、何重もの安全対策が必要になるため、信頼できるドローン業者から継続的なサポートを受けることが望まれている。そのため、ドローンの販売業者は、価格面で勝負するのではなく、技術力の高さやサービス内容で付加価値を高めていける。
ドローン販売の専門店は全国的に出てきているが、その多くはラジコン模型を扱ってきた業者であることから、個人の起業者にとっても、今のところ参入障壁が低い。ドローンは技術進化のサイクルが早く、産業利用では機体のカスタマイズが必要になったり、ドローンを安全に扱うためのアドバイスや指導ができる業者が求められており、そこからドローンの総合コンサルティング業へと飛躍させていくこともできる。今回のレポートでは、ドローンの販売事業を起点として、産業用ドローンの市場がどのような構造で形成されていくのかを解説していきたい。
(この内容はJNEWS会員レポートの一部です。正式会員の登録をすることで詳細レポートにアクセスすることができます → 記事一覧 / JNEWSについて)
■JNEWS会員レポートの主な項目
・産業用ドローンの販売ルートとディーラー網
・DJIドローンの正規販売ルート
・多様化できるドローン販売業者の収益構造
・米国ドローン販売の業界構造について
・成長するドローン測量ビジネスの技術と将来性
・公共工事で標準化されるドローン測量の料金構造
・ドロー操縦士育成ビジネスへの参入商機
・ドローンスクールの業界構造解説
・ロボット社会で価値を高める職業とスペシャリスト
・廃校(旧小中学校)を再利用したドローンビジネス
・空の規制緩和で浮上するドローンビジネスの参入方法
■この記事の完全レポート
・JNEWS LETTER 2018.11.17
※アクセスには正式登録後のID、PASSWORDが必要です。
※JNEWS会員のPASSWORD確認はこちらへ
これは正式会員向けJNEWS LETTER(2018年11月)に掲載された記事の一部です。 JNEWSでは、電子メールを媒体としたニューズレター(JNEWS LETTER)での有料による情報提供をメインの活動としています。 JNEWSが発信する情報を深く知りたい人のために2週間の無料お試し登録を用意していますので下のフォームからお申し込みください。