商品の製造からネット販売までを自前で行う新興アパレルブランドが成長。「Direct to Consumer (D2C)」と呼ばれるネット直販系メーカーの新業態で、店舗のコストを省いて、低価格で高品質の商品を提供するのが特徴(JNEWSについて
ネット直販(D2C型)で展開される新興アパレルブランド

JNEWS会員配信日 2018/3/23

 衣料品の価格は、この25年で大きく下落した。高級なブランド服を無理して買わなくても、ユニクロ、ZARA、H&M、などのファストファッションが普及したことで、消費者は安価な予算でもオシャレを楽しめるようになった。それを裏付けるように、高級服を中心に扱う百貨店の衣料品販売額は1991年に 6.1兆円だったのが、2016年には2.9兆円と、およそ半分にまで減少している。

《百貨店の衣料品の販売推移》

百貨店に出店するアパレルブランドがターゲットにしている平均客単価は1.5~2万円であるのに対し、子育て中の主婦層から人気の「しまむら」では、商品単価が800円台の衣料を中心に扱い、平均の客単価は約2,600円である。百貨店で売られるような、ハイブランドの商品はなぜ高いのかを、納得するように説明できなければ顧客は安い店に流れていってしまう。



ただし、消費者は“価格の安さ”だけで服を選んでいるわけではない。センスの良い服を探すことには、スマホの活用により、昔よりも積極的である。ファッションECサイトの「ZOZOTOWN(ゾソタウン)」は、年1回以上の買い物をするアクティブ会員数が389万人いて、年間の購入金額は 46,417円となっている。ネット通販には“試着ができない”というハンディがあるものの、オンラインでの服選びに慣れてしまうと、店に行くよりも便利でリピートする傾向がある。

《ZOZOTOWNの購買傾向(2017年)》

他の商材と同様に、ファッション衣料の購入ルートも店舗からネットへのシフトは急速に起きている。その中で新たな勢力として浮上しているのが、商品の製造からネット直販までを、すべて自前で行う新興ブランドである。これは「Direct to Consumer (D2C)」とも呼ばれている新業態だ。

ユニクロ、ZAR、GAPなどのファストファストファッションは、独自に企画、生産した商品を自前の店舗で販売する製造小売業(SPA)の業態として成長してきたが、D2C型の新興ブランドも製造小売業で、かつ店舗を持たずに、ネット直販で顧客とのダイレクトな関係を築いているのが特徴である。

《D2C型アパレル企業の販路》

D2Cメーカーは、店舗のコストがかからない分だけ、低価格で高品質の商品を提供することができる。たとえば、同じ価格帯の服を販売するのでも、全国に店舗展開をするSPAブランドと、無店舗型の D2Cブランドでは、後者のほうが高品質の商品を提供できるはずだ。ネットで服を探す消費者は、価格の安さを最優先の条件にするのではなく、デザインと品質、他の付加価値とのバランスから判断した“最もお買い得な商品”を選ぼうとしている。


※D2C型ジーンズブランドとして急成長している「Everlane」

従来のアパレルブランドは、漠然としたイメージで高級感を演出してきたが、消費者が自ら、情報収集や比較検討できる時代には、そうしたイメージ戦略は次第に通用しなくなり、「この商品を選ぶことのメリット」を明確に提示することが重要になってくる。D2Cブランドの強みは、消費者に対して、詳しい商品情報を公開したり、店舗には無い付加サービスも提供できることである。

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