顧客が売却希望の車を中古車情報サイトに掲載する委託販売ビジネスが流行っている。カスタマイズされたスポーツカーは、通常の下取りでは改造費を含めた高い査定額が付くにくいため、委託販売へのニーズがある(JNEWSについて
中古車業界が活路とする委託販売ビジネス

JNEWS会員配信日 2018/2/20

 日本の中古車販売台数は、ここ数年はほぼ横這いで推移しているものの、中古車販売店の経営状況は急速に悪化している。理由は、中古車1台あたりの粗利益が落ちているためだ。昔は1台売れると20万円前後の利益があったが、現在は数万円にまで落ち込んでいる。理由は、中古車市場の仕入れ値が年々上昇していることと、ユーザーはネットで全国から希望の車を探せるようになり、価格の比較検討がシビアになっているためである。

《中古車の平均仕入れ価格(オートオークション落札相場)》

近年の中古車販売は、カーセンサーやグーネット(Goo-net)などの中古車情報サイトに在庫を載せることが主な集客ルートとなっている。そのためサイト内の検索エンジン対策としても、他社よりも安い価格を提示して、検索結果の上位に表示させるほうが問い合わせ件数は多くなる。



ネットからの問い合わせは4~7割が他県からだが、遠方納車の陸送運賃を自己負担する中古車ディーラーもあり、中古車は低い利幅で高回転させなくては儲からない商売になってしまった。しかし、中古車販売店の大半は零細業者のため、在庫を次々と仕入れていくだけの資金力がない。

そこで、新たな業態として「委託販売」のサービスを手掛ける販売店が増えている。買取専門店よりも愛車を高く売りたいユーザーを対象に、車を預かり、店の展示場で販売することに加えて、中古車情報サイトへの掲載も行う。カーセンサーやグーネットでは、店舗と展示場がある中古車販売店の在庫だけを掲載対象としているため、このような委託型ビジネスが成り立っている。


特に、特別仕様の高級車やカスタマイズされたスポーツカーは、通常の買取専門店ではパーツ代や改造費を含めた高い査定額が付くにくいため、委託販売へのニーズがある。

《中古車委託販売の仕組み》

中古車委託販売の手数料体系は、顧客の車を展示場に置くための“保管料”として、月額5千円から1万円がかかり、車が売れた時に5%前後の手数料を徴収する。しかし、この方式は「車が長期間売れない」ほど、業者側が保管料を稼げることになる。そのため、愛車を長期で預けている間に、車の価値が下がってしまった、というトラブルも多い。

プロの業者に販売を委託すること自体は、個人間の直接取引よりも信頼性が高いはずであり、自動車に限らず、高額中古品の取引には適している。委託販売の契約内容や手数料体系のビジネスモデルを磨くことで、店舗を持つ業者が、ヤフオクやメルカリのようなCtoCマーケットに対抗する新業態を作ることは可能だ。(この内容はJNEWS会員レポートの一部です。正式会員の登録をすることで詳細レポートにアクセスすることができます記事一覧 / JNEWSについて

JNEWS会員レポートの主な項目
・中古車委託販売のビジネスモデルと問題点
・スーパーカーを委託販売する世界市場の動向
・クラシックカー専門委託販売業の採算構造
・海外で高騰する国産旧車を輸出するビジネス
・ヴィンテージ楽器の委託販売と契約登記の問題点
・委託販売型店舗(コンサイメントストア)の仕組み
・古着コンサイメントストアの経営スタイル
・モノ依存から脱却するミニマリスト向け不用品売却サービス
・ブロックチェーンで資産価値を高める共有台帳システム
・過小評価されているモノの資産価値と買取専門業者の問題点
・中古品の資産価値を上昇させるオークションハウスの運営手法
・趣味市場を狙った委託販売ショップはなぜ成功しないのか?

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