銀行店舗に代わるモバイルバンキングとAIアシスタント
JNEWS会員配信日 2017/8/18
銀行が個人向けの新サービスを投入したいと考えている背景には、銀行の窓口営業が急速に衰退していることがある。日本の全国銀行協会が定期的に行っている調査でも、2015年の時点で、銀行窓口の利用頻度が半年に1回以下しかない顧客は、全体の65%を占めている。これでは全国各地に店舗を配置する意味が無いことから、銀行支店の統廃合は急速に進むだろう。
※出所:よりよい銀行づくりのためのアンケート(全銀協)
店舗の代わりとして、これからの銀行が新チャネルとしたいのが、スマートフォンによるモバイルバンキングで、特に20~30代の若い顧客層を取り込みたいと考えている。そのためには、電子レシートで買い物の管理ができるような身近な機能を取り入れることがわかりやすい。そこから、購買データの分析に基づいたパーソナルサービスとして、ローンの利用や投資信託などの販売を勧めていくのが目的だ。
モバイルバンキング上のサービスは、すべてアプリ上で行われるために人工知能による仮想アシスタントの役割が重要になる。2015年に米カリフォルニア州で創業した「Varo Money」は、モバイルバンキングによって銀行業務を変革しようとする新興企業で、プリペイドカード取扱高が米国で1位のバンコープバンクと提携する形で、スマートフォン上の銀行業務を行っている。
Varo Moneyのモバイルバンキングでは、アプリ上で専用の口座(バンコープバンクに置かれる口座)を持つことができ、人工知能の仮想アシスタントが口座の入出金を分析して、節約できるポイントをアドバイスする。他の銀行口座やクレジットカードのアカウントとも連携することが可能で、他行で高金利のローンを利用している場合には、低金利ローンへの借り換えも仮想アシスタントが助言、サポートをする。
このアプリが主なターゲットとしているのは、20~30代のミレニアル世代だが、彼らの大半は、家計簿を付ける習慣がなく、銀行口座の残高チェックを週に1回程度することで、毎月のやり繰りをしている。しかし、日々の買い物や、学生時代のローン返済に加えて、自動車ローン、住宅家賃などで口座から引き落とされる金額も多く、病気などで突然の出費があると、家計がショートしてしまう。そうしたお金の管理を人工知能に担当させて、彼らの財政状況を健全化するのがアプリの役割になる。
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