成果主義で医療報酬を決めるバリューヘルスケア
JNEWS会員配信日 2017/4/25
病院は患者が来てくれなければ経営が成り立たない。病気を治すのが医師の仕事ではあるが、数回の診察で治る患者ばかりでも困るのが実情である。平均的な開業医は1ヶ月に約1千人の外来患者数があり、彼らが毎月通院してくれることで安定した収益が形成されている。
必要最低限の治療で病気を治すように努力する医師と、治療を長引かせる医師では、残念ながら後者のほうが医業収益は高くなるのが、日本の医療制度の実情である。
年間で約40兆円ある公的医療費の内訳をみても、手術などを伴う入院よりも、通院による医療費のほうが高いが、これは医師の治療方針を変えるだけでも軽減することが可能だ。
※出所:厚生労働省現在の診療報酬は、治療や投薬をした項目を点数として集計するため、診療内容が過剰になる傾向が強い。今後の医療改革では、患者の健康状態が改善するほど、医療報酬が高くなる仕組みが検討されている。このような評価システムは「アウトカム評価(実績に対する評価)」と呼ばれている。たとえば、高血圧の治療は、降圧薬を服用し続けることが従来の治療法だが、降圧薬を中止しても、その後の血圧が安定していればアウトカム評価のポイントになる。
他の先進国では、さらに医療の成果主義が重視される動きが出てきている。診療内容を患者毎に調査して、健康状態の改善を示すデータが多くみられる医師にはボーナスを与えることで、効果の高い治療へのモチベーションを高める。また、医薬品の効果についてもモニタリングをして、統計的に効果が低いと判定された薬に対しては、国が製薬メーカーに対して薬価の値下げを命令する制度などが考案されている。
実績データに基づいた医療システムは「バリューヘルスケア」というもので、過剰診療による医療費の高騰に歯止めをかける有効策として期待されているものだ。
それに伴い、これからの医療現場では、患者の健康状態を常時モニタリングするシステムへの需要が高まってくることが予測されている。(この内容はJNEWS会員レポートの一部です。正式会員の登録をすることで詳細レポートにアクセスすることができます → 記事一覧 / JNEWSについて)
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・規模が莫大な慢性疾患のモニタリング市場
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・医療モバイルアプリのビジネスモデルと収益源
・バックマージンに依存した保険業界と生命保険のカラクリ
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・40兆円医療費を牛耳る製薬会社と医師との業界構造
・8割が赤字に陥る健康保険組合の運営立て直しモデル
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■この記事の完全レポート
・JNEWS LETTER 2017.4.25
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