ブルーワーカーを知識集約労働に変えるデータ分析ビジネス

JNEWS会員配信日 2016/11/12

 仕事のカテゴリーには、「ブルーカラー」と「ホワイトカラー」という棲み分けが古くからある。昭和30年以降の高度成長期には、ブルーカラーが日本の経済を支えてきたが、1980年代のバブル景気以降は、“3K(汚い、危険、きつい)”の職種として、若者から敬遠される傾向が高まった。大学新卒者の就職先をみても、8割以上はホワイトカラーの職種に就いている。

《ブルーカラーとホワイトカラーの就業者割合(10年前)》

    ホワイトカラー ブルーカラー  
  小中学校卒
高校、短大、専門卒
大学卒、大学院卒
15.7%
46.9%
80.0%
78.7%
49.7%
17.5%
 
  ※ブルーカラーとホワイトカラーの賃金格差は約1.5倍
※平成19年度 就業構造基本調査

しかし近年では、仕事の内容が昔よりも高度、複雑になっていることから、「労働集約産業」と「知識集約産業」という分類にシフトしてきている。ホワイトカラーの職種でも、単純な作業は単価が切り下げられ、人工知能の登場によって仕事を奪われる(失業)リスクも高まってきている。

反対に、ブルーカラーの仕事の中でも、知識産業として進化させられる領域はたくさんある。3Kに該当する職種の中には、労働集約的な仕事が多くを占めており、体力的な負担が重いわりに、賃金単価は低く抑えられているのが実態だ。

具体例として、オフィスビルの清掃業は、同業者間の競争が厳しく、クライアント(企業)に提示する清掃料金は安くしなくては受注できず、そのしわ寄せは清掃員が吸収している。時給単価は法定最低賃金スレスレのため、若者の応募者は少なく、50歳以上の中高年者が主な労働力になっている。しかも、社会保険適用外のパートやアルバイトが8割以上を占めていて、交通費は自己負担というケースもある。

《オフィス清掃会社の採算構造》

・清掃作業者の人件費+清掃経費……70~85%
・会社の一般管理費……………………15~20%
・営業利益……………………………… 5~10%

しかし、オフィス清掃の仕事は、1件あたりの利幅は低いものの、一度契約を獲得すると長期にわたり毎月の安定収入になるのが利点である。また、公立の役所、学校、文化施設など公的機関の仕事も多く、一般競争入札や公募の案件から仕事を獲得することができる。



このビジネスをさらに進化させていくには、労働集約的な清掃作業をできるだけ効率化させていくことがポイントになる。近い将来には、人間に代わる清掃ロボットが普及するかもしれないが、中小の清掃業者が導入するには高額であることがネックだ。そこで、前段階の実用的なソリューションとして、オフィスや公共施設の各地点がどのように汚れるのかをデータ収集・分析して、清掃の人員配置や作業時間を最適化するビジネスが登場してきている。(この内容はJNEWS会員レポートの一部です記事一覧 / JNEWSについて

JNEWS会員レポートの主な項目
・ローテク清掃業界に導入するIoTソリューション
・施設内のモニタリングで汚れた箇所を発見するシステム
・運送業者の配達ルートを最適化するサービス
・労働者の疲労度を測るスマートキャップの仕組み
・AR技術を採用したスマートヘルメットの仕組み
・スマートヘルメットの問題点と開発の視点
・知識集約型に進化する新ブルーカラーの仕事
・データ分析で実証される脳しんとう後遺症への安全対策ビジネス
・知的労働者の仕事を奪う人工知能(AI)の開発動向と影響
・眠れるデータを発掘して収益化するビジネスモデルと着眼点
・拡張現実とセンサーを組み込んだウェアラブルデバイスの可能性

この記事の完全レポート
JNEWS LETTER 2016.11.12
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