働き方改革で浮上する在宅勤務導入に向けたノウハウ開拓

JNEWS会員配信日 2016/11/3

 「仕事とプライベート、どちらが重要なのか?」は昔から議論されているテーマであるが、仕事と私生活を完全に切り分けるのではなく、職場と住居を自由に行き来できたり(職住近接)、同じ場所に一体化させてしまう(職住一体)の考え方が支持されるようになっている。これは、2016.8.1号で紹介した「ワークライフ・ブレンド」のトレンドともリンクする。

ワークライフ・ブレンドとは、仕事とプライベートをはっきり区別するのではなく、生活の中に仕事を融合させていくスタイルで、早朝からの通勤や、深夜残業が常態化しているサラリーマンの働き方を改めるものだ。

日本政府も「働き方改革」に本腰を入れはじめていて、2016年9月から「働き方改革実現会議」立ち上げて、ワークスタイルの改善に必要な法律の整備や政策の検討を開始した。厚生労働省では、毎月80時間以上の残業が常態化している事業所が2万社以上あるとみており、悪質な職場の摘発体制を強化してきている。過労死などで労災請求がされる職場では、大半が長時間労働をしている。

《長時間労働の監督指導結果(2015年4月~12月)》
 
●監督指導をした事業所数(8,530事業所)
・残業が月100時間を超えていたもの……59.7%
・残業が月150時間を超えていたもの……12.4%
・残業が月200時間を超えていたもの…… 2.5%
・残業が月250時間を超えていたもの…… 0.6%
──────────────────────
※労災請求があった事業所が監督指導の対象
※出所:厚生労働省

また、働き方改革の目的には、少子化対策の側面もある。働く女性の帰宅時間が遅くなることで、生活に支障が生じるのは当然として、夫の帰宅が遅くなることでも、夫婦の出生意欲や育児に影響が生じていることは、内閣府の研究でも指摘されている。

■夫の帰宅時間が少子化に与える影響(内閣府)
  https://goo.gl/jMYFG9

これからは、サラリーマンの長時間労働を是正することが国策としても叫ばれて、大企業を中心としてワーク・ライフバランスへの取り組みが熱心になっていくことが予測される。具体策としては、ノー残業デーの実施、フレックスタイム制の導入、新たな休暇制度の導入などが考えられている。

しかし、本気で働き方改革を行うには、長年染みついた企業文化を根底から変える必要もあり、それだけでは生ぬるい。社員の根本的なストレスを解消するには、“毎日通勤する”という常識を取り払い、自宅からでも仕事ができる勤務体系に改めることも必要になる。

欧米では、在宅勤務制度を導入する会社が増えている。そのメリットは、社員のストレスを軽減して、本来の仕事に集中できることに加えて、優秀な人材を獲得しやすくなることにある。

米求人サイト「FlexJobs」によると、在宅勤務の求人案件は、2014年から2015年にかけて36%増えた。リモートワークを導入することで、世界から優秀な人材が集まりやすい傾向は顕著なため、2020年までには在宅勤務が広く普及するだろうと予測している。

■リモート勤務に積極的な米国企業100社(FlexJobs)
  https://goo.gl/v6Ma4n

企業がワークスタイルの変革(働き方改革)に取り組み始めることで、これまでオフィスの家賃、通勤費、残業代などに投じてきた資金の一部が、リモートワークの関連市場に振り分けられるようになる。安倍政権では、政府の後押しで在宅勤務が普及することで1兆円の市場が生まれるとみているが、ITのハードやソフトウエア以外でも隣接する市場のすそ野は広い。(この内容はJNEWS会員レポートの一部です記事一覧 / JNEWSについて

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