高齢者の“閉じこもり”を解消する付き添いサービス
JNEWS会員配信日 2016/10/16
高齢者が健康を維持していく上では、「積極的に外出をしたほうが良い」ことは、統計からも裏付けられている。厚生労働省でも、家に閉じこもることは、運動機能の低下や認知症、さらに“寝たきり”を引き起こす要因になるとして、「閉じこもり予防」のマニュアルを作成している。
高齢者が閉じこもりやすくなる時期としては、自動車の運転を引退するタイミングが大きい。安全のためには、事故を起こさない段階で、自主的に免許を返納することが望ましい。しかし、運転を辞めた高齢者に、うつ病などの症状を起こすリスクが高まることは、米国老年医学会の論文でも報告されている。
日本でも、免許保有者の割合でいえば、まだ少ないものの、免許を返上する高齢者の数は急速に上昇している。これからの社会では、運転を引退した高齢者でもアクティブに外出できる体制を整えることが、官民が一丸となった事業テーマとして浮上してくるだろう。
《自主的な免許返納者の推移(65歳以上)》
・平成18年(2006年)……… 2.3万人
・平成20年(2008年)……… 2.9万人
・平成22年(2010年)……… 6.3万人
・平成24年(2012年)………11.7万人
・平成26年(2014年)………20.8万人
・平成27年(2015年)………28.5万人
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※出所:運転免許統計(警察庁)
免許返納者に対しては、「運転経歴証明書(SDカード)」が交付されて、そのカードを提示すると、地域で各種の割引サービスが受けられる特典制度が整備されてきている。特典の内容は都道府県によって異なるが、バスやタクシー、スーパー、コンビニ、宅配サービス、飲食店などの割引が受けられる。
提携先の業者や店舗に対しては、行政からの報酬や補助金が支給されるわけではないが、警察署、都道府県の窓口やホームページ、ガイドブック等に、免許自主返納者向けの“優遇店”として掲載されるため、高齢者を優良客として取り込みたい業者にとっては、新たな集客ルートとして活用できる。
※出所:自動車安全運転センター
運転を引退したシニアに向けて、特に需要が見込まれているのが、外出に付き添う「エスコートサービス」である。身近な家族がいれば、買い物などに同行してもらえるが、単身や老夫婦だけの生活では、どうしても外出回数が減って、閉じこもりがちになってしまう。
米国ではシニア向けの付き添いサービスが多数開発されている。最近のトレンドは、通院や日常の買い物に限らず、レジャーや旅行への付き添いをするエスコートサービスが急成長してきている。家族や友達が身近にいなくても、外出して刺激的な体験をしたいという高齢者は増えており、彼らに向けた新ビジネスは多方面から生み出せる。(この内容はJNEWS会員レポートの一部です。正式会員の登録をすることで詳細レポートにアクセスすることができます → 記事一覧 / JNEWSについて)
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●介護業界から参入する旅行エスコート業
●高齢者の旅行に付き添うサービスの仕組み
●高齢者エスコートで求められる新たな専門職
●メディカル・エスコトート業者の集客ルート
●不便で使えない介護タクシーの実情
●高齢者市場に参入する米ライドシェア業者
●ライドシェアサービスと介護業者の提携モデル
●高齢者との仲介役となるケアマネージャの役割
●介護業界への転職で築く業界人脈→独立開業モデル
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