JNEWS会員配信日 2016/6/2
空き工場を安価な家賃で貸すことで、起業者を支援しようとしている自治体は多いが、老朽化した工場スペースをそのまま提供するだけでは難しい。そこで、米国では、古い工場を、デジタル時代の製造業に対応したクリエイティブ系のコワーキングスペースに改装することが、新たな不動産ビジネスとしても注目されている。
ニューヨーク市のブルックリン地区は、1970年代までは造船や製造業の港湾都市として栄えてきたが、その後は、金融業で栄えたマンハッタンとは対照的に寂れていき、現在では使われなくなっている工場ビルが多数ある。
「Industry City(インダストリー・シティ)」は、1950年代の工業団地を、ニューヨーク市の公的資金と民間の投資により、5,000万ドル(約55億円)の資金をかけて、工業コワーキングスペースに造り替えた施設である。8階建てのビルの中には、スモールメーカーの研究開発ができる作業スペースと、デスクワーク用のスペース、それに小売店や飲食店が入居できるスペースもある。
最近では、IT、メーカー、デザインなどの境界線が曖昧になってきているが、この施設ではリアルなモノ作りとハイテクビジネスの両方に対応できる仕様になっている。賃料は1平方フィート(0.093平方メートル)あたり 15〜35ドルの設定で、寂れた工場ビルの再生モデルとしては成功している。
ブルックリン地区は、製造業が衰退してからは治安が悪化して、凶悪事件が起きやすい場所としても知られていたが、アーバン・マニュファクチャーの波に乗って、不動産の再開発事業が進められている。それは、治安を改善するのにプラスだが、以前から、同地域に作業場を構えていたアーチストなどは、家賃相場の上昇によって、転居しなくてはいけない状況も出てきている。都市の再開発には、必ずプラスとマイナスの裏表があることは、意識しておきたい。(この内容はJNEWS会員レポートの一部です→記事一覧)
■JNEWS会員レポートの主な項目
●メイドイン・ニューヨークに学ぶ都市型製造業
●メイドイン・サンフランシスコ製品のブランド戦略
●ローカル都市の製造業再生プロジェクト
●日本の製造業を復活させるための視点
●デジタル製造業に対応した遊休工場の再生ビジネス
●シェアリング経済を先導するツールライブラリーの仕組み
●ウォーカブルシティへの都市再生と街をスコア化するビジネス
●コモディティビジネスから抜け出すカスタマイズ製造業の潮流
●製造業の枠組みを変革するメイカーズムーブメントの本質
●メイド・イン・USAをブランド化する米国製造業の再生モデル
■この記事の完全レポート
・JNEWS LETTER 2016.6.2
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