JNEWS会員配信日 2016/4/21
日本には様々な名産物や特産品があるが、新たな地域の名物として「ご当地グルメ」が盛り上がっている。ブームの発端は、2006年からスタートした「B-1グランプリ」と言われており、ご当地グルメで町おこしをしたい地元団体が全国各地から参加する。2015年で10年の歴史がある。
2013年の第8回豊川大会では、全国64団体が出展し、週末2日間で約58万の一般客が来場した。会場内では、1,000円(100円券×10枚)のチケットを購入して、各ブースの料理を試食することができ、美味しいと思った出展者に投票をしてグランプリを決定する方式だ。
このチケットによる売上は 約2.4億円だが、地域のホテルや飲食店にも遠方から訪れた客が流れるため、イベント全体の経済効果は約35億円と試算されている。
また、出展者にとっては、地元のグルメを、新たな名物として多くの人達に知ってもらえることのメリットは大きく、「富士宮やきそば」のようにブランド化に成功するケースも登場してきている。
ご当地グルメ人気の高まりにより、地域の食材を活かした創作料理を開発しようとする取り組みは、既存の飲食業者や、新たな起業者の中でも増えてきている。
“B級グルメ”と呼ばれることもあるが、米国でブームになっている「ローカルフード」や「ソウルフード」に近づけることができる。
これらの特徴は、高級レストランで食べる料理よりも、価格はリーズナブルだが、食材は厳選しているため美味しく、オーガニックやヘルシーなどの付加価値を与えることもできる。そして、販売のスタイルを“店舗”に限定することなく、移動販売にも広げている点だ。
日本でも、移動販売車の数は着実に増えている。東京都の保健所から営業許可を受けている、厨房機能を備えた移動販売車の数は、2000年からの14年間で約3倍に増加した。調理済みの食材を売る移動販売車も含めれば、都内だけでも4000台近くになる。
《東京都内の移動販売車数(調理可)》
・2000年………923台
・2003年……1,141台
・2006年……1,569台
・2009年……1,830台
・2012年……2,329台
・2014年……2,734台
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※出所:東京都福祉保健局
移動販売型の飲食業は、従来の店舗経営と比べると開業資金を安く抑えることでき、軽トラックを改造したタイプ(中古)であれば、200〜300万円の予算で開業することも可能。ただし、当初の計画通りに売上が伸びるとは限らず、廃業率が高いのも、移動販売の特徴である。
その一方で、移動販売は商圏を固定せずに集客をすることができ、名物として料理のブランド化に成功すれば、出店場所を広げていくことが容易なことから、飲食業の新業態としてこれから成長させていくことができる。
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■JNEWS会員レポートの主な項目
●フードトラックの規制問題と業界構造
●フードトラック基地「コミサリー」の役割
●ストリートフードによる地域経済の再生
●社会事業としてのフードフェスティバルとビジネスモデル
●フードトラックの経営指標と差別化戦略
●米フードトラック事業者の採算性
●オリジナル料理のブランド化とFC展開
●ご当地グルメのブランド管理モデル
●フードビジネスによる中小飲食店の生き残りと再生の方向性
●フリーマーケットを起点とした小売ビジネスの新形態
●自治体が育成する「ご当地ゆるキャラ」の経済効果と資産価値
●フードトラックからスタートするナチュラルフードビジネス
■この記事の完全レポート
・JNEWS LETTER 2016.4.21
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