JNEWS会員配信日 2016/4/13
老後への不安はどんな人も抱えているものであり、その準備として年金を積み立てたり、保険に加入したりしている。それは“将来への備え”として間違ってはいないが、年齢別の人口階層は大きく変化するため、いまの常識的な考えを、数十先の老後生活に当てはめることはできない。
日本の人口統計では「65歳以上」を高齢者として扱っているが、その割合は、2015年の時点で総人口のおよそ4人に1人(26.7%)。それが2050年には38.8%にまで増える見通しだ。しかも今の40代が老後を迎える頃には、80歳代の層が全人口の中で最も厚くなる。
《年齢層別の人口推計(日本)》
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2013年 |
2035年 |
2060年 |
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10歳未満 10歳代 20歳代 30歳代 40歳代 50歳代 60歳代 70歳代 80歳代 90歳以上 |
8.5% 9.3% 10.7% 14.1% 13.1% 12.8% 14.2% 10.0% 5.3% 1.0% |
6.6% 7.3% 9.3% 10.6% 11.2% 13.5% 15.3% 11.7% 10.5% 3.7% |
5.8% 6.9% 8.3% 9.1% 10.9% 12.4% 13.1% 13.3% 13.4% 6.7% |
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※出所:国立社会保障・人口問題研究所 |
現役人口よりも高齢者の数が多くなれば、公的サービスによって、高齢者の生活を支えていくことは不可能になるため、70歳、80歳でも大半の人は自立した生活をしなくてはいけなくなる。家族との関係も変化していくため、サザエさん一家のような「三世代世帯」は過去のものとなり、高齢者の新たなライフスタイルが開拓されていくことになるだろう。既に、高齢者宅の家族構成が変化していることは、高齢社会白書(内閣府)の中でも明らかになっている。
《高齢者(65歳以上)のいる世帯の家族構成》
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1980年 |
2012年 |
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単身者世帯 夫婦のみ世帯 親と未婚の子供 三世代同居世帯 その他 |
91万世帯(10.7%) 137万世帯(16.2%) 89万世帯(10.5%) 425万世帯(50.1%) 106万世帯(12.5%) |
486万世帯(23.3%) 633万世帯(30.3%) 411万世帯(19.6%) 319万世帯(15.3%) 242万世帯(11.6%) |
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※出所:高齢社会白書 |
これからの高齢世帯は、「単身」「夫婦二人」「未婚の子供との同居」の3形態が増えていく傾向が顕著だが、いずれの形態でも、安心できる生活スタイルが確立しているわけではない。企業にしてみると、そこにある不安や不便を解消することに、新サービスを生み出せるヒントがある。
日本で「高齢者サービス」というと、介護保険の適用となるものがイメージされやすいが、実際に要支援と要介護認定を受けている高齢者は、75歳以上でも全体のおよそ3割に過ぎない。大まかに言えば、現在でも、公的な介護サービスを受けられるのは、85歳を過ぎてからのことで、それまでは自立した生活をしていかなくてはならず、それをサポートできる各種のサービスを開発したほうが需要は大きい。
《要介護等の認定状況(2015年)》
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人口 |
要介護認定 |
要介護率 |
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65歳〜70歳未満 70歳〜75歳未満 75歳〜80歳未満 80歳〜85歳未満 85歳〜90歳未満 90歳以上 |
969万人 778万人 635万人 501万人 317万人 184万人 |
28.4万人 48.0万人 86.3万人 146.8万人 159.4万人 135.8万人 |
2.9% 6.1% 13.6% 29.3% 50.3% 73.8% |
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合計 |
3384万人 |
604.7万人 |
17.8% |
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※要介護認定の項目は、 ※出所:介護保険事業状況報告(厚生労働省)から集計 |
※高齢者の生活状況が確認できるスマートウォッチ(Lively)
国内の売上(内需)で収益を上げていきたい企業にとっても、これからは高齢者がメインの消費者となり、彼らの新たな生活スタイルを意識した商品を生み出していくことが、売上の向上に結び付く。総人口に対する高齢者の割合が増えてくれば、介護人材の不足が深刻になるため、それをカバーできるテクノロジーが必要になってくる。それは、業者に限らず、離れて暮らす子供が親のケアをする場合にも求められる。(この内容はJNEWS会員レポートの一部です→記事一覧)
■JNEWS会員レポートの主な項目
●高齢者をターゲットにするスマートウオッチ市場
●シニア層を意識したタブレット開発
●同居から独居へ急速にシフトする家族形態
●孤独を感じさせないリタイアメントコミュニティ
●高齢者セレブの新たな生活スタイル
●フェローシップとしての新たな働き方
●シニア人材がフェローシップとして関わる職種
●高齢者の生活ケアをするシニア起業家の着眼点
●ウォーカブルシティへの都市再生と街をスコア化するビジネス
●高齢オーナーよりも長生きする愛犬向け遺言信託サービス
●人生の最終章をサポートする終活専門職としての独立開業
●60代以降の起業者を増やすシニア・アントレプレナー支援市場
●介護業界への転職で築く業界人脈→独立開業への起業モデル
●個族社会における裕福層の正体と孤独を癒すサービス業
■この記事の完全レポート
・JNEWS LETTER 2016.4.13
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