欧米、アジアで人気化しているeスポーツの大会には、大手企業がスポンサーに付き、数億円単位の賞金が賭けられるようになっている。世界で急成長しているeスポーツと、日本のゲーム業界では何が違うのかを理解することが、これからのゲームビジネスの先行きを占う上で役に立つ。(JNEWSについてトップページ
ゲームを花形職業に昇華させるeスポーツ業界のビジネスモデル

JNEWS
JNEWS会員配信日 2016/3/27

 日本のビデオゲーム市場には約1兆2千億円の経済規模がある。「ファミ通ゲーム白書2015」によると、家庭用ゲーム(ハードとソフト)が 4,039億円、スマホアプリによるソーシャルゲームが 7,886億円という内訳で、国内ゲームユーザーの数は、約4,800万人と算定されている。

これほどの市場があるにも関わらず、ゲームには「教育に良くない」「部屋に閉じこもって不健康」などネガティブなイメージがあり、ゲームプレイのスキルが高くても、社会的に評価されることは少なかった。ところが、海外では、ビデオゲームを“スポーツ競技”とみなして、高額の賞金を競い合う「eスポーツ」が、2015年頃から急速な盛り上がりをみせている。

背景にあるのは、自分のゲームプレイを実況動画として配信できる環境が普及してきたことで、個人のゲーマーにも多数の視聴者(ゲームファン)が付くようになったことである。そこに着目しはじめたのが、これまでテレビCMやスポーツイベントなどに広告を出稿してきた企業で、オンラインゲームのリーグ戦やトーナメント戦をスポンサーとして支援するようになっている。

世界の総プレイヤー数が7,000万人と言われる「League of Legends(リーグ・オブ・レジェンズ)」は、仲間5人でチームを組み、相手チームの拠点を破壊していくオンラインゲームだが、世界一のチームを決めるために毎年開催している大会、ワールドチャンピオンシップの賞金総額は 213万ドル(約2.5億円)という規模だ。1位のチームには100万ドル、2位は25万ドル、3位と4位にそれぞれ15万ドルが支払われる。

大会は、リアルな会場に観客を入れて、オンラインでも配信される。北米、欧州、中東、アジア、中国などから選出された16チームが4つのグループに分かれて総当たり戦を行い、各グループの上位2チームが「ノックアウトステー」と呼ばれるトーナメント戦に進んで王者を決める方式だ。


※League of Legends 2015 World Championship

こうしたeスポーツの大会には、コカコーラ、インテル、サムスン、日産、アメリカンエキスプレスなどのビッグスポンサーが付くようになり、人気ゲームの大会を合算した賞金総額(2015年)は、7,100万ドル(約81億円)を超している。

それに付随した、中小のトーナメント戦なども各所で多数開催されて、ゲームを本業とする「プロゲーマー」という職業も成り立つようになってきた。世界のトッププレイヤー達は、年間で100万ドル以上の賞金を稼いでいる。

eスポーツ・トッププレイヤーの獲得賞金ランキング(2015年)

もちろん、ゲームで高年収を稼げるのは一握りの存在だが、それに憧れる一般のゲームユーザーが視聴者や観客となり、eスポーツの市場規模が急拡大する構図になっている。ゲームは、子供から大人までがプレイヤーとして参加しやすいため、リアルなスポーツ市場と同規模が、それ以上に成長するという予測もある。

《eスポーツ賞金マーケット推移》

eスポーツに関連したビジネスとしては、オンラインゲームの実況動画配信、リーグ戦やトーナメント戦の開催、ゲームが観戦できるリアルな会場の賃貸、プロチームの運営などがあり、日本ではいずれも未開拓の市場である。

ビデオゲームの歴史ででは、日本は欧米よりも長いが、ゲームプレイヤーを収益化させるビジネスモデルについては欧米が先行している。海外でeスポーツが成功しているのかを理解することで、ガラパゴス化している日本のゲーム業界に変革の波を起こすことは可能だ。

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