JNEWS会員配信日 2016/1/8
年末年始といえば、特売セールが恒例の行事だが、これは小売店にとっての稼ぎ時でもある。クリスマス前から正月にかけては、消費者の財布の紐が年間を通して最も緩む時期だからだ。大手の百貨店では、高額の家電製品、ブランド品、高級時計や宝飾品などの売上が、他月と比べて2〜3割伸びるのが通例である。
そこで、派手な特売セールのチラシで集客をして、バーゲン用の割引商品を揃える一方で、本命の人気商品はそれ程の値引はせずに売るのが定番のやり方だ。しかし、近年ではネット通販の普及により、従来の方法に反応しない消費者が増えており、バーゲンセールの存在自体も見直す時期に差し掛かっている。
そのシグナルは、2015年末の米国で見ることができた。米国のクリスマス商戦はブラック・フライデーと呼ばれる、感謝祭(11月の第4木曜日)翌日の金曜日からスタートして、各小売店が大幅な値引きセールを繰り広げるのが通例だが、今回はバーゲンセールを取り止めることで、逆にショップの価値を高める成功例が出てきている。
米国のブラック・フライデーは、日本の年末バーゲンよりも過激だ。量販店では開店前に長い行列ができ、開店と同時に商品の奪い合いが起きて、怪我人が出ることも珍しくない。そのため、冷静で賢明な消費者の中では、セールの行列に並ぶことを避けて、オンラインで目的の買い物をする人達が増えている。
それが、感謝祭の翌週にネットの売上と出荷量が増える要因となっており、アマゾンなどのeコマースサイトは、リアル店舗のブラック・フライデーに対抗するオンライン上のバーゲンセールを積極的に展開するようになり、「サイバーマンデー」と呼ばれるようになった。
店舗でのバーゲンセールを展開してきた大手量販店の中でも、今後はサイバーマンデーの顧客を取り込むために、オンライン上のセールへと方針を転換する動きも出始めている。これからのeコマースは、ネット専業のサイトに限らず、リアルな小売業店でも主力の販路として取り入れていくことになるだろう。
さらに、バーゲンセール自体を廃止する小売企業も出てきている。ネットを検索すれば常に安い商品が購入できる時代には、バーゲンよりもっとスマートな方法で集客し、適切な利益を確保する方法へとシフトする必要があるためだ。(この内容はJNEWS会員レポートの一部です→記事一覧)
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■この記事の完全レポート
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