ウォーカブルシティへの都市再生と街をスコア化するビジネス
日本の不動産は、オリンピックへの期待などから、一部の地域で買われているものの、地価の推移をみると全国的には下降のトレンドを継続している。国土建設省が発表している、平成27年度の地価公示でも住宅地の全国平均は「-0.4%」の下落だ。現在の地価相場は、不動産バブルを迎える前の、昭和56年頃と同水準とみることができる。
仮に、これからの景気が良くなったとしても、30年前のように全国の地価が一律に上昇するとは考えにくい。それには、居住者の高齢化に加えて、街全体のインフラが老朽化していることが関係している。
日本でマイホームの建設ラッシュが起きたのは1960年代のことで、高度成長期に大都市への人口集中を緩和するために、当時の政府が、地方の住宅建設を推し進める法律(住宅建設計画法)を制定(1966年)したことが起点となっている。
その頃から50年が経過して、当時の“新興住宅地”はかなり寂れた雰囲気へと変わっている。商店は閉店が相次ぎ、空き家や耐震性で不安な住宅も増えているが、街を再開発するには、住民全体の同意が必要となるため、実行するのはかなり難しい。
これからマイホーム購入を検討している人にとっては、街の機能が衰えてしまった古い住宅地に家を建てても、生活がしにくいし、資産価値の下落幅も大きいことから、新規で開発されたエリアのタワーマンションを購入したほうが賢い、という判断になってしまう。これからの不動産相場は、同じ都道府県でも、生活インフラの優劣によって大な差が生じてくることになるだろう。
では、「住みやすい街」として今後の評価が上昇していくのはどんな街なのか?その条件は複合的に考えられるが、世界の都市開発に起きているトレンドとして「歩きやすさ(Walkability)」がキーワードとして浮上している。
実際に、歩きやすい街(ウォーカブル・シティ)には、他地域からの転入者や、観光客も多いという経済効果が確認されている。高齢者に限らず、若者の中には、運転免許を持たない者も増えていることから、都市のウォーカビリティを向上させることが、地域経済の発展や不動産価値の向上に繋がりはじめているのだ。
こうした流れの中で重要なのが、各地域の“住みやすさ”を客観的に把握するための指標で、それが不動産の相場や賃貸物件の入居率にも影響してくるようになる。
ウォーカビリティの条件でいえば、道路幅の設定、自転車専用レーンの有無、徒歩で移動できる公共施設までの距離、等々が判断の材料になるが、街の環境は日々変化しているため、それらのデータを定期的に調査してスコア化するビジネスが登場してきている。
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■JNEWS会員レポートの主な項目
・歩きやすい街(ウォーカブルシティ)の価値
・歩きやすさを採点するウォークスコアの仕組み
・街の環境をスコア化するビジネスモデル
・ウォークスコアの経済効果と応用モデル
・ウォーカブルサバーブへの地方都市再生
・リタイア後に住みたい街への不動産評価
・歩行者向けナビゲーションツールの開発商機
・バイクシェアサービス参入の視点
・日本版コンパクトシティの再開発事業
・地域店舗を潰さないバイローカルキャンペーンの発想
■この記事の完全レポート
・JNEWS LETTER 2015.10.14
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