JNEWS会員配信日 2015/9/12
市街地の中でも、小売店舗の廃業や老朽化したビルの取り壊しによる空洞化は進んでいる。古い賃貸ビルの中では、現在の消防法や耐震基準に合わない建物が増えているが、大掛かりな改修工事をしても採算が合わないと考えれば、解体して更地にしてしまったほうが良いと考えるビルオーナーは少なくない。
その後の土地は、「駐車場」として活用したほうが、ローコストで高い収益が見込めるためである。無人のコインパーキングならば、人件費をかけずに24稼働で時間単位の課金収入を得ることができる。
全日本駐車協会の「全国駐車場整備状況調査」によれば、日本全国にある共用駐車場の数は「477万台」。これは、国内の自動車登録台数(約7,600万台:四輪)に対しておよそ6%の供給量に過ぎず、駐車場の数は不足している。
ただし、駐車場の利用状況については、立地や時間帯によって稼働率の偏りが大きいことがネックになっている。地域の自治体が運営する公営駐車場の稼働率は10〜20%台ということも珍しくない。その一方で、駐車場業界大手の「パーク24」の業績を見ると、同社が管理する駐車場(約50万台)の稼働率は平均45%前後と好成績を上げている。
パーク24では、各駐車場の満空車情報をリアルタイムで管理できる「TONIC(トニック)」という情報システムを開発することで、曜日や時間帯別の需要に合った料金体系を設定することなどで、稼働率を高めている。
また、小売店や飲食店にとっても、来客用駐車場の確保は重要な課題だ。広い駐車場のある店では、マイカー客を呼び込むことができため、開業時には「店舗+駐車場」の条件で物件を探したほうが良い。駐車場が広ければ、来店ターゲットとなる商圏を2次、3次へと広げることができるためだ。
《駐車場の有無によって広がる商圏エリア》
●1次商圏…徒歩10分以内で来店できるエリア(店から半径500m圏)
●2次商圏…車で10〜15分以内に来店できるエリア(店から半径5km圏)
●3次商圏…車で30分以内に来店できるエリア(店から半径10k圏)
しかし、店舗経営者にとって、複数台の駐車場を確保することはコスト面の負担が大きい。1台の月極駐車場にかかる費用を1万円/月としても、10台分の契約をすれば月10万円の経費がかかるが、駐車場がフルに稼働している時間帯は少ない。そこに、効率的な駐車場の活用ができる方法があれば、経費の削減や、さらにプラスの収益も期待できるようになる。
こうしてみると、駐車場の運営や管理については、改善・改良ができる余地が残されており、ITソリューションとの相性も良い。そこで海外では、駐車場の稼働率を高めることを事業テーマとした新興企業が次々と登場してきている。(この内容はJNEWS会員レポートの一部です)
■JNEWS会員レポートの主な項目
●パーキングアプリで変わる駐車場業界
●P2Pパーキングによる遊休地の収益化モデル
●日本での駐車場レンタルによる副業と規制問題
●便利+安さをウリにした駐車代行サービスの仕組み
●パーキングメーターの開発とスマートパーキング
●近未来の労働力不足を解消するオンデマンドワーカーの台頭
●リアルタイムで価格を変動させるダイナミックプライス戦略
●個人ドライバーが副業として参加するライドシェアリング市場
●安全コストを意識したカーシェアリング事業の採算と転換期
■この記事の完全レポート
・JNEWS LETTER 2015.9.12
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