JNEWS会員配信日 2015/6/22
鮮魚の産直販路は日本国内だけでなく、海外にも広げることが可能だ。昔と比べると、低温物流の技術は飛躍的に進化しており、国際クール宅配便を使えば、香港、上海、台湾、シンガポールなどへ、日本の鮮魚を翌日までに届けることが可能になってきている。
日本へ輸入される魚介類(食用)が年間 335万トンあるのに対して、日本から輸出されるのは約60万トンと少ないが、海外での日本食ブームを受けて、高級魚を中心とした日本産鮮魚のブランド価値は高い。主な仕入れ先となっているのは、現地の富裕層や日本人駐在員などをターゲットとしている、日本料理店や寿司屋などだ。
中国上海の場合には、約2千店の日本料理店があるが、そのグレードは、客単価が 50元程度(約1千円)の回転寿司から、1,000元(約2万円)以上の店まである。安い店では中国内や他国産の魚を主に使用しているが、高級店になるほど日本産の魚を使う割合が高くなる。
上海の日本料理店では、日本人が経営する店も多く、営業先は絞り込みやすいことから、産直ビジネスの販路開拓は比較的しやすい。ただし、福島原発の事故以降は、中国側で日本産食品の検査を強化していることから、放射線物質検査と原産地証明書を付ける必要がある。
※以下10都道府県で生産された水産物は中国への輸出が不可となっている。
福島県、群馬県、茨城県、栃木県、宮城県、新潟県、長野県、埼玉県、東京都、千葉県
■中国向けに輸出される水産物に必要な証明書について(水産省) http://www.jfa.maff.go.jp/j/kakou/export/chinashoumei.html
世界規模でみた魚介類の消費量は、30年前と比較して2倍以上に増えている。新興国の中でも、特に裕福な人達が魚を食べるようになってきたためだが、海にいる魚の資源量が昔よりも増えているわけではない。
その分だけ、国際間で「魚の奪い合い」が起きることになるが、乱獲を避けるために、魚種ごとに捕獲できる漁獲可能量(TAC)を国際条約によって守らなくてはいけないようになってきた。それにより、アジ、サバ、サンマなど、日本人にとって身近だった魚も、近い将来には高級魚として扱われるようになるかもしれない。(この内容はJNEWS会員レポートの一部です)
■JNEWS会員レポートの主な項目
●脱サラしてプロ漁師になるための方法
●なぜ日本の漁師は低所得なのか?収益構造の分析
●高収益化を目指す漁師の産直ビジネス
●鮮魚流通を変える産直プラットフォーム
●国産水産物を海外に輸出する未開拓市場
●中国消費者向けの越境EC市場の参入点
●安全野菜を求める消費者から支持される生鮮品宅配の採算
●世界の食料不足に備えたアーバンファーム(都市農業)
●家庭菜園を進化させた自給型農業の普及と支援ビジネスモデル
●安全な野菜を産直販売するコミュニティ農業(CSA)の台頭
■この記事の完全レポート
・JNEWS LETTER 2015.6.22
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