JNEWS会員配信日 2015/7/22
米国でベンチャー事業にチャレンジしやすい背景には、投資に対して積極的な国民性も関係している。日本では、家計で余剰が出た資金は「貯金すること」が堅実とされているが、米国では「投資に回すこと」のほうが賢いという価値観がある。その結果が投資マネーを潤沢にして、起業者や中小企業を育てることへと繋がっている。日米の資産構成を比べても、その傾向は明らかだ。
そのため、日本の中小ビジネスは、主な資金繰りを金融機関からの借り入れに頼らなくてはいけないが、アベノミクスによる日銀のマネー供給量が3倍以上に膨張しても、中小企業向けの融資残高は伸びていないのが実態だ。
金融機関にしてみると、過去に多額の不良債権を抱え込んだ教訓から、貸し倒れリスクのある中小企業向け融資をするよりも、超低利で顧客から預かったの資金を、国債や外国証券などで運用したほうが、ローリスクで安定した収入を得ることができる。そうした考えを裏付けるように、預金残高に対してどれだけの貸出を行っているのかを示した「預貸率」は、年々下降している。
銀行が経営の健全性を保つことは必要ではあるが、ある程度はリスクのあるビジネスに対しても、積極的な融資をしていく仕組みを作らなければ、起業者や中小企業が育っていかないことも事実である。
そこで、新たなに浮上してきているのが「ソーシャルレンディング(ソーシャルローンとも呼ぶ)」の融資システムである。ネット上でお金を借りたい人(事業者)と、貸したい人とを仲介するのが基本的な仕組みだが、これは、社会貢献や起業者を支援する気持ちによって資金が集まるクラウドファンディングとは一線を画している。
余剰資金を持つ人が、銀行預金よりも高い利回りを期待でき、かつ、株式投資よりもリスクが少ない資金運用の方法として、海外ではソーシャルレンディングを専門とした個人投資家も登場してきているのだ。
年率で平均5%以上の運用利回りが期待できるため、欧米では、数百億ドル規模の資金がソーシャルローン市場に流入しはじめているが、そこには当然リスクもある。そこで今回は、新たなソーシャル金融ビジネスの長所と短所、日本での普及動向について見ていきたい。(この内容はJNEWS会員レポートの一部です)
■JNEWS会員レポートの主な項目
●ソーシャルレンディングの仕組みと金利設定
●投資対象としてみたソーシャルレンディング
●訳ありローンから目的別ローンへの移行
●国内のソーシャル金融ビジネス動向
●年率5〜6%を狙うソーシャルローン投資
●不動産を担保にしたローンファンドの仕組み
●金融業界の勢力図を塗り替えるネット銀行の台頭と顧客開拓
●仮想通貨ビットコインが巻き起こす送金システム革命
●新たな自動車購入のスタイル開発とローン金利設定のトリック
●株式よりも安定した利回りを狙う社債投資と中小企業の資金調達
●保証人制度改正で浮揚する新たなマイクロ金融の取引モデル
■この記事の完全レポート
・JNEWS LETTER 2015.7.22
※アクセスには正式登録後のID、PASSWORDが必要です。
※JNEWS会員のPASSWORD確認はこちらへ
|