JNEWS会員配信日 2015/7/14
欧州や中国の経済が悪化する中でも、いまの米国の製造業は他国と比べて影響が小さく堅調な動きを見せている。
その要因としては大きく3つの点が挙げられる。1つは、リーマンショック以降のメーカーが、中国や台湾などへの製造委託を見直して、製造拠点を米国内に回帰させてきていること。2点目は、シェールガス革命により、製造業や物流にかかるエネルギーコストが大幅に下がってきていること。3点目は、工作機械の分野にもIT革命が起きていることだ。
《米国の製造業が好転してきた要因》
(1)製造拠点の国内回帰…製造〜流通の時間短縮、ノウハウ流出の防止
(2)エネルギーコストの引き下げ……シュールガス、原油価格の下落
(3)工作機械のIT革命…安価で高機能な製品作りが可能に
さらに第4の要因として、米国で新たなモノ作りにチャレンジする新興企業や起業者が増えてきたことも見逃せない。キックスターターのようなクラウドファンディングを利用すれば、新製品のアイデアを実現するための資金を小口で広く調達することが可能になってきた。
キックスターターの発表によると、2014年に資金獲得に成功したプロジェクト数は22,252件、資金提供した支援者数は 330万人、資金の総額は5億2,900万ドルとなっている。プロジェクト1件あたりの平均調達額は 約2万3,700ドル(約290万円)になり、少額の予算でモノ作りにチャレンジするマイクロファクトリーが増えてきているのだ。
こうした状況から、従来の大量生産品とは異なる、カスタマイズ型の商品を開発する中小製造業者も力を付けてきている。量産品は新製品をリリースしても、すぐに値崩れが起きて、コモディティ化(大衆化)を起こしてしまう。もともと、ブランド力が乏しい中小業者にとって、大手メーカーと土俵で大手と戦うのは困難だ。
しかし、消費者の嗜好やこだわりは多様化していることから、製品を自分仕様にカスタマイズしてほしいというニーズは高まっている。そこに着目して、ネットで顧客から直接カスタムオーダーを受けられるようにすれば、大手メーカーとは競合しない市場を開拓することができる。
カスタマイズ化される商材は、自動車、ジュエリー、アパレル、食品など広範囲で登場してきており、その動向からは、これからの中小メーカーが生き残る方向性を探ることができる。(この内容はJNEWS会員レポートの一部です)
■JNEWS会員レポートの主な項目
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●3Dプリンターで進化するジュエリー業界
●ボディスキャナーによる個客向けカスタムサービス
●体調によってカスタマイズする食品ビジネス
●3Dプリント・フードソリューションの世界
●調理道具をカスタマイズする発想
●海外から国内へ回帰する製造業に向けたローカル人材発掘
■この記事の完全レポート
・JNEWS LETTER 2015.7.14
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