JNEWS会員配信日 2015/6/29
大都市から少し離れた郊外に、広い駐車場がある大規模店舗を作ることが、小売業の成功戦略になっていたが、そうしたロードサイド店舗の売上が芳しくなくなっている。
理由として考えられるのは、消費者の高齢化や、若者の車離れによって、郊外まで買い物に出かけにくくなっていること。さらに、スマホからのネットショッピングが便利になったことで、“価格の安さ”をウリにしてきた郊外店の魅力が薄れてきたこともある。
大手家電量販店のヤマダ電機では、約60店舗を閉鎖することを発表したが、その対象となっているのは、地方や郊外にある不採算店である。これからは、訪日外国人の来店が期待できる都市部の店舗に集中をしていく方針だ。
全国に600店舗以上のショッピングセンターを展開するイオンでも、3兆円を超す売上はあるものの、消費税が8%に引き上げられた後の集客には苦戦しており、総合スーパー事業の営業収支では赤字を出している。
中小の店舗が減少している傾向は既定路線であったが、消費税の引き上げ後は、大規模店舗にまで“消費者離れ”が波及しはじめている。価格にシビアな消費者は、ネットで最安値のショップを探すスタイルへとシフトしているためだ。
しかしリアル店舗には、ネット通販には無い魅力や利点があることから、全国の店舗がすべて消滅してしまうことはないはずである。求められる役割や機能が変化しながら、新形態の店舗が消費者から支持されるようになるだろう。
そこに気づき始めているのが、オンラインのビジネスを専業として成功してきた業者で、今後は、オンライン店舗とオフライン店舗の両方を融合させたビジネスモデルを模索しはじめている。
eコマースの草創期にあたる、2000年頃には「クリック・アンド・モルタル」という言葉が生まれたが、これは、従来からある実店舗がネット通販を兼業することで、商圏を拡大する小売業の形態を表していた。
それに対して、オンラインから派生するオフライン店舗は、eコマースを本業とする企業が、ネット上のサービスだけでは不足している点を、オフライン(実店舗)を持つことにより補完しようとするものである。そのため、店舗には必ずしも商品在庫を置く必要はなく、どんなサービスを提供するのかは、オンライン・オフラインの展開をする各社によって異なってくる。
米アマゾンでも、リアル店舗を実験的に運営しはじめており、それがオンライン・オフラインのモデルケースになるのではないかと見られている。その方向性を理解することで、これからの店舗が、どんな活用のされかたをしていくのか、どんな条件の店舗が価値を高めていくのかを探ることができる。(この内容はJNEWS会員レポートの一部です)
■JNEWS会員レポートの主な項目
●ECの不便を補完するオフラインストアー
●オンライン・オフラインの新たな店舗機能
●オンライン・オフラインの紳士服販売
●インストア・ピックアップによるリアルな買い物
●オンライン・メガネショップのリアル店舗展開
●スタイリストサービスの新業態モデル
●ファストファッションの次に訪れるアパレル業界の革命的潮流
●フリーマーケットを起点とした小売ビジネスの新形態と個人売買
■この記事の完全レポート
・JNEWS LETTER 2015.6.29
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■この記事の完全レポート
●通販客を呼び戻すリアル店舗向け買い物代行サービスの台頭
●地域店舗を潰さないバイローカルキャンペーンの発想と経済学
●停滞するネットスーパー事業と急成長するインスタカートの対比
●実店舗からオンラインの買い物へ誘導するショールームビジネス
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