JNEWS会員配信日 2015/4/8
日本の家電業界は、テレビのデジタル放送化が完了して以降、深刻な不況に見舞われている。かつては、液晶パネルで一世を風靡したシャープは、当時の過大な設備投資と、液晶相場の値崩れによって、いまでは企業存続の危機の立たされているほどだ。
他のメーカーでも、新たなヒット商品を生み出せずに苦しんでおり、産業設備や重電分野にシフトすることで業績を立て直そうとしているが、やはり家電メーカーにとっての本業は、消費者の生活に役立つ新製品を提供していくことだろう。
経済産業省の調査では、テレビ、携帯電話、太陽電池、LEDなどの分野で、いずれも日本の製品は、海外メーカーに負けている。エレクトロニクス産業の貿易黒字額は、2005年に7.1兆円だったのが、2013年には8割も減少して、1.5兆円にまで目減りしているのだ。
日本のメーカーは、技術は世界トッププラスでも、最も儲かる市場のボリュームゾーンで、価格の安い新興国メーカーにシェアを奪われてしまうのが、近年の共通したパターンになっている。
これまでの家電ビジネスは、新技術を発明して特許権を獲得し、独占的な商品を世界で販売していくことが成功法則だったが、近年では、特許裁判を覚悟の上で類似した製品を安価で発売してくる新興メーカーも多く、従来のビジネスモデルが崩壊してきている。
さらに、自社の技術を守ることが、業界内の孤立化を招くことにも繋がっている。
これからの家電ビジネスでは、「高性能だから高く売れる」ことは成り立たず、もっと巧みなビジネスモデルを構築していく必要がある。
家電業界の明るい兆しとして、様々なモノ(製品)とインターネットとが接続された「Internet of Things (IoT)」の新市場が控えており、DC Japanの調査では、2020年にIoTの市場規模は世界で365兆円になると予測されている。
※IoT家電でリードする新興企業のNest社
IoTの特徴は、家電やエレクトロニクス製品がネットに接続されて、無人のデータ通信や情報共有を相互にできるようになる。そこに向けては、大手家電メーカーの他、グーグルやマイクロソフト、自動車メーカーなどが関わり始めているが、まだ明確なビジネスモデルが確立しているわけではなく、各社が色々な可能性を模索している。
日本の家電業界が復活できるか否かは、IoTビジネスとの関わり方によっても変わってくるし、未開拓の市場であるため、新興企業や個人の発明家にまで参入のチャンスがある。(この内容はJNEWS会員レポートの一部です)
■JNEWS会員レポートの主な項目
●スマホアプリで管理するスマート住宅
●ウェアラブルなIoTデバイスメーカー
●各業界に広がるIoTビジネスの可能性(農業への活用例)
●IoTベンチャーの収益モデルと出口戦略
●IoTビジネスの技術開示と規格争いの動き
●ラズベリーパイを活用した起業とIoTビジネスの入り口
●製造業の枠組みを変革するメイカーズムーブメントの本質
●オープンイノベーションで変わる140兆円研究マネーの行方
●個人が「メーカー」として起業するパーソナル製造業時代
■この記事の完全レポート
・JNEWS LETTER 2015.4.8
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