JNEWS会員配信日 2015/2/27
子どもから大人まで、娯楽時間の過ごし方が変化していることは各所で指摘されている。テレビの視聴時間が減る一方で、急速に普及してきたのが、オンライン上のゲームであることは周知されていること。ゲームには依存性があり、一度ハマると、長時間をゲームに費やす傾向が顕著にある。
ファミ通ゲーム白書(2014年)によると、国内のゲーム市場は約1.1兆円の規模があるが、その6割をオンラインゲームが占めるようになり、任天堂やプレステなどの、家庭用ゲーム機市場を上回っている。
ソーシャルゲームは、無料でダウンロードしてスマホで遊べるため、ユーザー層は、これまでゲームとは無縁だった主婦層などにも及んでいる。ただし、ゲーム内でハイスコアを出すには、キャラクターを強化していく必要があり、その成長スピードを早めるための有料アイテム課金が、各ゲーム会社の収益源になっている。
しかし、消費者庁がソーシャルゲームの「コンプガチャ」と呼ばれる課金方法が違法になるとの見解を示した頃から、ゲーム会社の課金収入が落ち込み始めている。現在でも、大手ゲーム会社の課金収入は、年間で1〜2千億円の規模があるが、ソーシャルゲームのビジネスモデルが曲がり角に来ていることは否めない。
他方、異業種からソーシャルゲームに参入した成功例も出始めている。ディズニーがLINEと共同で開発した、日本発のソーシャルゲームの「ツムツム」は、2014年2月の公開から約2ヶ月で国内 1,000万人からダウンロードされた。その後、米国、欧州、アジア向けに英語版も公開されて、世界累計で4000万件ダウンロードの大ヒットゲームとなっている。
ツムツムは、いわゆるブロック崩し系のゲームだが、ミッキーマウス、くまのプーさんなど、多数のディズニーキャラクターがゲーム内に登場するため、女性からの人気も高いのが特徴。この中でも、キャラクターを強くするためのアイテム課金は行われているが、それを使わずに、無料のままハイスコアを狙っていく人も多い。
ディズニーでは、もともと公式ストア内で「TSUM TSUM(ツムツム)」という、ぬいぐるみグッズを発売しており、このゲームは同商品のプロモーションも兼ねている。結果、ゲームが大ヒットしたことで、グッズの売上も大幅に伸びるという相乗効果が出ている。
また、ゲームを介して大量の登録ユーザーを獲得したことにより、ディズニーランドやディズニーシーのテーマパーク事業や、映画事業と連携したイベントやキャンペーンも組みやすくなる。
従来商品やサービスの販促マーケティングにゲームを取り入れた手法は「ゲーミフィケーション」と呼ばれており、スマートフォンが普及しはじめた頃から注目されてきた。最近では、その成果や問題点を検証することで、新たなゲームの活用方法が模索されている。
近年のソーシャルゲームについては、依存性やギャンブル性などが青少年に悪影響を与える、というネガティブな意見がある一方、どうしてユーザーはゲームに熱中するのか、その理由を解明することで、新たなソーシャルマーケティングの手法を生み出すことも可能になる。
■この記事の主な項目
●人はなぜソーシャルゲームにハマるのか?
●ゲーミフィケーションによる販促マーケティング
●リアルイベントと融合させたゲーミフィケーション
●ゲーミフィケーションを活用した新薬開発と医療
●ゲーム開発会社の新活路とプラットフォーム化
●ゲームとして楽しむ従業員健康改善プログラム
●万能では無いゲーミフィケーションの欠点について
■この記事の完全レポート
・JNEWS LETTER 2015.2.27
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