映画館の空席を解消するサブスクリプションビジネスモデル
日本には約3千の映画館(スクリーン数)があり、興行収入は 年間2,000億円前後で横這いが続いている。近年では、DVDによる映画鑑賞のほうが、市場規模(約6,000億円)は上回っているが、映画ビジネスの基本は、今でも「映画館」にあり、そこでの興行成績が、DVDの生産枚数やテレビ放映権料を決める上での指針となっている。
映画の上映サイクルは、1作品につき1ヶ月前後であることが多いが、来場者数をみて、客足が悪ければ2週間で打ち切られることもあるし、ヒット作になれば3ヶ月以上続くこともある。
映画館では、スクリーンの座席数に対して平均15%の稼動率が損益分岐点と言われており、それよりも観客が少ない作品は、上映を続けても赤字を垂れ流すことになってしまう。映画館の経営では、収入の8割がチケット販売で、残りの2割が、館内での軽食やグッズの販売によるものだ。
映画館の経費として大きな割合を占めている「映画会社に払う配給料」は、新作の公開初週が最も高いレートに設定され、上映日数が長期になるほど値下げされていく仕組みになっている。そのため、同じ作品を長く上映しても稼動率の良い映画館ほど利益率は厚くなり、各館では、通常料金(1800円)の他に、シニア割引、夫婦割引、レディースデーなど、独自の割引制度を設けることで来場者を増やして、空席を埋めようとしている。
海外でも、映画館の空席対策は近年の課題になっている。映画の視聴スタイルが多様化したことで、来場者数が減少しているためだが、最近の映画には、3D、4DXなどの技術革新が起きていることから、体感型シアター施設として、顧客を呼び戻したいと考えている。
特に、米国では映画館の数が多いことから、その空席対策を手掛けるベンチャービジネスが登場してきている。このビジネスモデルには、まだ荒削りな面があるが、日本の映画業界にも導入できる可能性がある他、他のリアルビジネスでの稼働率向上策を考える上でのヒントになるものだ。
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