JNEWS会員配信日 2014/11/22
2012年に1ドル=80円台だった為替相場は、120円台にまで下落したが、これは、円の価値が3割以上も下がったことを示している。輸入が主体の企業は、仕入れ原価の高騰が痛手となっているが、逆に、輸出企業では、日本から海外へ製品を売りやすくなる。
円安により、巨額の恩恵が得られるのは、自動車メーカーなどの大企業が中心ではあるが、近頃では、スモール企業や個人の副業者でも、為替差益を狙った貿易ビジネスを手掛けられるようになってきた。
以前から、副業者の間では「競取り(せどり)」と呼ばれる転売ビジネスが行われていた。地域の古本屋やリサイクルショップと、ヤフオクなどでネット販売(落札)されている中古品の価格差に着目して、転売ビジネスを行うものだが、2〜3年前からは、それが国際的に展開されるようになっている。
100円で仕入れた本を、400円で売っても大した利益にはならないが、目聡い副業者は、せどりの転売先として、海外のアマゾンやイーベイに出品することで利幅を稼いでいる。たとえば、日本のアニメやオタク系商材は、米国でも人気が高い。
しかも「円安」の時期ならば、為替差益によって実質的な利益が厚くなる。
国際間のビジネスを行うには、物流と決済の問題がネックとなるが、その両方で、便利なサービスが普及してきたことから、2012年頃からは、スモール貿易を手掛ける人達が増えているのだ。
その火付け役となったのが、「Payoneer(ペイオニア)」という国際間の決済サービスで、米国内に住んでいなくても、米国銀行の口座を持つことができ、そこにプールされた資金(ドル)を、日本のATMから円建で引き出すことができる。
それまでは、米国の消費者へ輸出販売をするのに、米国内に子会社や支社を開設して、売上の管理をするのが普通だったが、ペイオニアの登場により、スモール貿易の障壁は一気に低くなり、イーベイやアマゾンのマーケットプレイスを使えば、多額のコストをかけなくても、日本から米国への輸出販売を実現させることができる。
特に、アマゾンのマーケットプレイスでは、米国の注文者と直接的なメール対応をしなくても取引ができるため、英語が不得手でも、副業としてスモール貿易にチャレンジすることができる。そこに向けては、アマゾン輸出のノウハウを解説した情報商材も売られている。
ただし、日米で人気商品の実売価格差を利用した、セドリ的なスモール貿易は参入者が多く、それほど儲かるとはいえず、本業として育てていくには、オリジナルの商材を開拓して、スモール貿易のノウハウを築いていくほうが得策だ。ペイオニアを使うことについても、デメリットがあるため、ノウハウ本のやり方を真似するだけはなく、独自の方法を開拓していくのが良い。
個人・中小企業でもチャレンジできる国際eコマースの方法や選択肢は急速に進化しており、「せどり」に限らず、さらに本格的な貿易ビジネスを展開していくことも可能だ。
■この記事の主な項目
●アマゾン輸出による転売ビジネスの方法
●ペイオニア口座の欠点と米銀行口座の開設ノウハウ
●スモール貿易による売上金の流れ
●商品の国際発送と代行サービスの活用モデル
●アマゾンFBAを利用したグローバル販売
●急成長する海外へのeコマース進出支援サービス
●日本の内需を引き上げるアジア旅行者の買い物意欲と購買特性
●日本人が海外で起業するバーチャルカンパニーの設立ノウハウ
■この記事の完全レポート
・JNEWS LETTER 2014.11.22
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■この記事の完全レポート
●アマゾンのバックヤードを活用したショールームショップ開業法
●ネットによって国境を楽々と越えるサービス貿易の動向と影響
●「BUYMA(バイマ)」を活用したブランド品の個人貿易ビジネス
●モノからサービスへシフトする貿易と人材の輸出入ビジネス
●中国eコマース市場の取引慣習と日本業者向け代行ビジネス
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