JNEWS会員配信日 2014/6/14
自動車は、生活に欠かせない道具といって過言ではないが、新車の購入価格は平均で 250万円前後。世帯によっては2台以上のマイカーを保有しているため、その負担は決して軽くはない。そこに着目して、近頃では多様なマイカー購入の形態が提案されている。
車種によっても異なるが、マイカー(新車)の購入代金を現金一括で払っている人はおよそ6割で、残り4割の人達がローンやリースなどを活用しているが、メーカーではさらに“非現金”での購入率を高めようとしている。
その理由は、金銭的な負担が軽減されると、車の買い換え・上級車種へのグレードアップを促すことができることの他に、ローンやリース契約によって、メーカーの収益が向上するためだ。
トヨタ自動車の収益状況をみると、平成24年度の決算では、自動車事業の売上高が20兆円に対して、営業利益は 216億円だったが、金融事業は1.1兆円の売上高で、3,064億円の営業利益を稼いでいる。この年は、本業の新車販売が東日本大震災やタイの洪水、円高の影響を受けたが、それを金融事業の収益が支える形となった。
トヨタの金融事業は、主に顧客と販売店に提供するローンとリース・プログラムによって成り立っており、債権回収のリスクを抱えているが、プログラムが順調に回っている状態では、安定した金利収入を得ることができる。さらに、現金客以外の購買層が広げられるため一石二鳥の利点がある。
トヨタに加えて、他の自動車メーカーでも力を入れているのが「残価設定ローン」による販売だ。従来の自動車ローンは、車両価格にオプションや諸経費を加えた総支払額を分割払いにしたものだが、それでは月々の支払い負担が重いという顧客に対して、数年後に乗り換える際の車両価値をあらかじめ差し引いた、残りの金額に対して分割払いをすれば良いスタイルである。
※36ヶ月後は「新車に乗り換える」「残価を払って乗り続ける」「車両を返却」 の中から希望の方法を選択することができる。
購入者にとっては、ローンは金利を払う分だけ割高な買い物することになるが、毎月均等割された支払いの負担が軽減されることで、マイカーを入手しやすくなる。分割払いの仕組みは1950年代からあるものだが、その仕組みは時代と共に進化している。
同じ商品でも、支払い方法を便利にすることで販売数を伸ばすことは可能で、自動車業界のように成熟した市場では、消費者に「新たなマイカーの買い方」を提示することが求められている。そこに向けては、ソーシャルファンディングやタイムシェアリングの仕組みを活用することができ、自動車メーカーとベンチャー企業の提携モデルも登場してきている。
●買いやすさを演出する残価設定ローンのトリック
●支払い方法のさじ加減による利益操作の方法
●顧客によって金利が異なる米国ローン事情
●大学生向けのマイカー購入支援サービス
●ソーシャルファンディングによる新車販売の手法
●超高級車をタイムシェアリングする発想
●タイムシェアクラブの運営モデル
●カーシェアリングへの不満と改善モデル
●ソーシャル社会の信用力として活用されるクレジットスコア
●安全コストを意識したカーシェアリング事業の採算と転換期
●小売業→レンタル→シェアリングサービスへのビジネス転換
●マイホームをシェアすることで住宅ローンをゼロにする方法
● 自家用ジェット機の販売に学ぶ分割オーナーシップ制度の仕組み
JNEWS LETTER 2014.6.14
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