JNEWS会員配信日 2014/6/7
映画などのビデオソフトを購入しなくても借りられるレンタル店が日本に登場したのは、いまから30年以上前(1980年代)のこと。当時はビデオソフトが1本あたり1万円以上したことから、それが数百円で借りられるのは画期的なサービスとして、全国へ急速に広がっていった。ちょうどその頃は、VHSのビデオデッキが安価で普及しはじめた頃とも重なる。
さらに、ビデオレンタルサービスの原型となったのは、貸レコード店で、1981年に立教大学の学生が、生協から市販のレコードを学割価格で購入して、それを定価の10分の1で貸し出すサービスを考案したものだ。これが、いまの生活に定着しているレンタル文化の原点といえるところ。
当時のレンタルサービスは法的にグレーなものであったが、その後は、アナログレコードからCDへ、VHSテープからDVDへと、ソフトの媒体が進化していく過程で、著作権の法的な問題も解決されて、レンタルサービスが大きく飛躍していった。
しかし、ピーク時には全国で1万1千店にまで増えたビデオレンタル店も、1995年頃からは下降トレンドとなり、2013年には4300店までに減少している。
ビデオレンタル店が衰退している理由としては、同業者間の競争によるレンタル価格の下落、インターネットやスマートフォンの普及、テレビのレコーダーで番組を録り貯めておけるようになったことなど、複数の要因が影響している。消費者のライフスタイルが変われば、求められるレンタルサービスの形態も変わっていくということだ。
その一方、海外では、映画ストリーミング配信の「Netflix(ネットフリックス)」が従来のテレビ局を凌ぐ勢いで成長してきている。現在の会員数は、米国を中心に世界40ヶ国で4800万人、月額8ドル〜の固定料金を払うことで、映画や人気ドラマなどの豊富なコンテンツを自由に見ることができる。
ネットフリックスの強みは、定期契約型(サブスクリプション)で会員顧客から月額固定のレンタル料金を課金しているため、毎月の安定した収入により新作コンテンツを充実させていけることである。
もともと、レンタルサービスはスモールビジネスからスタートして、消費者が潜在的に抱えたニーズとマッチして市場が拡大していくケースが多い。音楽・ビデオはその典型例だが、それ以外でも、未開拓のレンタル分野を掘り起こすことは可能で、米国では“第二のネットフリックス”を目指す起業者が増えている。
そこでの急所は、利用者が毎月定額のレンタル料を払うことで、新たな作品や商品を次々と試用できるような、サブスクリプション型のレンタルサービスを開発することである。その具体例として浮上してきたのが、子ども向けの玩具を「購入」ではなくレンタルして、遊ぶのに飽きた頃に、次の新しいオモチャと交換できるサービスだ。
米国では、子ども用の玩具は「レンタルするもの」という新たな価値観が出来つつある。各家庭では、子どもの成長に合わせて玩具を買い揃えているが、すぐに飽きて使わなくなってしまうものも多い。それならば「レンタルのほうが便利」という発想から、玩具のレンタルサービスが多数登場してきている。
●レゴを専門に取り扱う玩具レンタルサービス
●レゴ・レンタルサービスの成功ノウハウ
●幼児の知能開発に役立つ玩具レンタル
●子ども向けレンタルに適した商材発掘の着眼点
●STEM教育に関連した玩具レンタルへの商機
●国内玩具市場の内訳と参入ポイント
●理数系才能を開花させるSTEM教育ビジネスの開拓
●コンテンツ力で勝負するストリーミングTVのビジネスモデル
●サブスクリプション型で生まれ変わる小売業のビジネスモデル
JNEWS LETTER 2014.6.7
※アクセスには正式登録後のID、PASSWORDが必要です。
■この記事に関連したバックナンバー ●DVDレンタルから派生したマイカーを持たないライフスタイル
●書店よりも儲かるレンタルコミックサービスの採算性と問題点
●定期購買で高収益を持続させるサブスクリプションeコマース
●零細業者が手掛けやすい幼児向け知育玩具のブランドビジネス
|