JNEWS会員配信日 2014/4/30
ネットビジネスでは、長らく広告収入に依存したサービスが主流となってきたが、その収益基盤が脆いことは、既に各所で指摘されており、これからの起業家がビジネスプランを投資家にプレゼンする上では、広告以外の柱となる収入源を提示することが高評価に繋がっている。そこで、収益構造からみたビジネスモデルを整理すると、大きく3つに分類することができる。
《ネットビジネスモデルの収益体系》
(1)広告収入によるビジネス
(2)マージンビジネス(物販など)
(3)フィービジネス(コミッション型)
マージンビジネスは、商品の仕入れ原価に、粗利(マージン)を上乗せして販売するもので、eコマースを含めた小売業の収益構造が該当する。在庫を保有するため、売れ残りに対するリスクが生じることと、ライバルとの価格競争も厳しく、「売上−仕入原価−販売経費」で残る利益は決して高くはない。また、商品発送にかかる物流設備への負担から、売上が大きくなるほど、利益率は下がっていく傾向にある。
それに対して、フィービジネスは、取引1件単位の手数料収入をベースとするため、取引件数が増えるほど、手数料収入も積み重なっていく特性がある。手数料の決め方には、1件ずつの取引に対して固定の手数料を設定する「定額型」と、取引の金額に対して一定率を乗じた金額を手数料とする「コミッション型(歩合手数料)」の2種類がある。
コミッション型のフィービジネスでは、商品やサービスの取扱高に乗じて手数料収入も増えていくため、起業家達は、この方式を採用した様々な新規事業を考案しようとしている。
その中でも、個人間の売買を仲介するためのプラットフォームを開発手掛けることが、ビジネスモデルの新たな定番になってきた。オークション、マーケットプレイス、使わない用具のレンタルや交換サービス、知識を共有するeラーニングなど、サービスのカテゴリーは異なっていても、個人取引プラットフォームとしての仕組みは共通している。
機能の急所となるのは、売り手と買い手のマッチングが成立した後に、代金の決済を行う部分で、その一定率を手数料として徴収することが、プラットフォーム業者の収益になる。
ただし、売り手と買い手のどちらから手数料を徴収するのか、手数料率の設定によっても、サイトの収益性に差が生じてくるため、仲介する商品やサービスの内容、利用するユーザー層によっても、フィービジネスの組み立て方は異なってくる。
こうした状況から、今回はフィービジネスの様々なモデルについて特集をしてみたい。大企業の中でも、薄利多売のマージンビジネスから脱却するために、フィービジネスへの転換を模索している会社は多く、手数料収入を安定して積み重ねていくビジネスモデルが模索されている。
●金融業界のフィービジネスに学ぶ収益構造
●手数料ビジネスの「片手」と「両手」について
●自動車の個人売買を活発にするエスクロー業務
●個人取引サイトの収益構造と手数料体系
●クラウドワーカー仲介市場での手数料設定の考え方
●フリーマーケットを起点とした小売ビジネスの新形態と個人売買
●フリーミアム・ビジネスモデルのその後、失敗事例からの教訓
●勝者なき世界金融緩和による膨張マネーを争奪するファンド業界
●米スポーツ界の年俸相場を決める「交渉代理人」の業界構造
●世界標準のプラットフォームビジネスとローカライズ市場
●フリーエンジニアとしての起業スタイルと単価設定の考え方
JNEWS LETTER 2014.4.30
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