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サブスクリプション・コマースによる
顧客生涯価値の高め方
JNEWS会員配信日 2013/8/30

 地域で評判のが店あったとしよう。その噂を聞きつけて、初回の来店する客は多いが、その中で、次回も来店してくれる客は、良くても3割前後と言われている。残り7割の客は、初回のみの利用で終わってしまうのが、消費者の習性である。

それはeコマースにも言えることで、新規客のリピート率は「2〜3割」が平均値。しかも、派手な広告宣伝や、特売セールだけをウリにしているショップでは、顧客との関係が“その場限り”になってしまう傾向が強く、固定客を増やしていくことは難しい。こうしたショップは、長年にわたって経営を維持していくことができずに、数年で消えていく。

非対面で顧客の実像が見えないネットビジネスでは、アクセス数などのカウントだけで、集客の成果を測ってしまう癖があるが、大切なのは、3年、5年、10年と、継続して利用してくれる安定顧客を育てていくことだ。

サイトへアクセスしてきた新規のユーザーが「顧客」になる確率を示した、顧客誘導率については、情報発信をするネット上の媒体によっても大きな差が生じている。

米マーケティング情報会社 custora社が、2009年から2013年にかけて、米国の小売サイト、86社の利用顧客7200万人の動向を調査したところでは、意外な結果が報告されている。新規のアクセスを顧客に誘導しやすいチャンネルとして、最も有効なのは、2013年の時点でも、キーワード入力による検索(オーガニック検索)であり、次にCPC広告(Cost per click)、そして3番目に電子メールが入っている。

その一方で、利用者が急増しているツイッターやフェイスブックなど、ソーシャルメディアからのアクセスについては、顧客への誘導率が低い結果になっている。

《オンライン媒体別にみた顧客誘導率(2013年)》

 

広告を伴わない、純粋な検索エンジン利用者(オーガニック検索)の顧客誘導率が最も高いのは、興味関心があるキーワードを自分の意志で入力して、該当のサイトを探し出しているからであり、ショッピングが目的の場合には、アクセス→商品注文への転換率が非常に高くなる。

また、電子メールは、ネットマーケティングの方法として“時代遅れ”という印象を抱く人が多いかもしれないが、実際には、電子メールによる商品案内(メルマガ)から購入に至る確率は高く、その傾向は昔と変わっていない。スパムメールは除くとして、「メールで情報を受け取る」ことは、ユーザー側の意志によりメールアドレスを登録しているため、顧客になる確率は高いのだ。

一方、近年のソーシャルメディアは、友達同士の緩い繋がりをベースにネットワークが広がっているため、その中で発信される口コミ情報からは、“気軽なアクセス”を集めることができるが、eコマース事業者にとっては、そこから購入意欲が強い購買層を囲い込む工夫が必要になる。その仕組みとして、月額会費制によるサブスクリプション型(定期購買型)のeコマースについて、欧米の事例を解説しながら、顧客生涯価値を高められるビジネスモデルを考えていこう。


この記事の核となる項目
 ●優良客を取り込むアマゾンのサブスクリプション戦略
 ●出版社に向けた電子書籍のサブスクリプション機能
 ●印刷版と電子版をセットにした雑誌の定期購読モデル
 ●使い捨てカミソリのサブスクリプション販売
 ●多様なコーヒーやお茶を試飲できる定期購買モデル
 ●試供品配布を応用したサブスクリプションコマース
 ●定期購買ネットワークを活用したテストマーケティング
 ●定期購買によるメーカー直販型eコマースの仕組み
 ●eコマース市場の新勢力・ソーシャルコマースの主役と取引形態
 ●電子出版で変わる消費者の購買スタイルと広告マーケティング
 ●福袋が進化したラッキーバックによるソーシャルショッピング
 ●ニッチ市場の開拓とモバイルで攻める現代版の行商ビジネス
 ●先用後利の置き薬商法が進化した在庫補充サービスの商機


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