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  日本特有の職人技術を習得することにより、他国での就労ビザがしやすくなる。職人として海外生活にチャレンジするスタイルは「職人ノマド」として注目されている。
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国境を越えはじめた職人技能の伝承と
職人ノマドのワークスタイル
JNEW会員配信日 2013/5/14

 ハローワークが集計する全国の有効求人倍率が「1%」を切る職種が大多数を占める中で、現場からの人手不足が聞こえてくるのが、職人系の仕事である。

建設業界で求められる、鉄筋工、とび工、配管工などは、慢性的に需給がひっ迫している。腕の良い熟練工は数が限られるため、統計上の数字よりも人手不足は深刻で、公共工事の入札が不調(落札者が決まらない)になるケースが相次いでいる。東北地方では、各県が発注する工事の2〜3割が入札不調という状況で、震災復興の足かせにもなっている。

人手不足の背景には、公共事業や民間の建設工事が、1992年頃をピークにして減少を続けていることに伴い、受注単価のダンピングが行われてきたことがある。そのしわ寄せは、「労働者の待遇悪化」という形に表れて、建設業の就業者は、平成4年当時よりも19%減少している。さらに、新たに職人を目指そうとする、建設業界への“入職者”の数も減っているのだ。

《建設業への入職者数推移》

 

賃金構造基本統計調査(平成24年)でみた、建設作業者の平均年収は391万円で、全業界の男性労働者(529万円)より26%も低い。さらに、福利厚生の面でも、他の業界より劣っていることが、入職者を減らしている要因といえる。

国土交通省によると、いまの建設業界には「技能労働者」に該当する職人が 280万人いるが、その中で60歳以上の高齢職人は18%にもなる。今後も若い入職者が増えなければ、建設業界の高齢化はさらに進んで、人手不足は深刻になる見通しだ。

《建設技能労働者の人口ピラミッド想定値(2020年)》

 

職人系の仕事が衰退してきている傾向は、他の業界にも当てはまる。飲食業界では「調理師免許」の取得者が年々減少しており、20年前の6割に落ち込んでいる。調理師の資格は無くても、料理人をすることは可能だが、ホテルやレストランの求人では、調理師免許の保有者を条件にしているケースも多い。

《調理師免許の交付数推移》

 

料理人としての技術を習得して一人前になるまでには長期の修行が必要で、その間は給料も安い。そのため、師匠に弟子入りをして技術を学ぶような、かつての徒弟制度は、現代には馴染まなくなってきている。

その一方で、一度は企業へ就職した後に、脱サラをして職人の道を目指そうとする人達が、水面下で増えている。彼らの目的は、日本の伝統技術を習得した後に「海外」を目指すことである。“海外で働き、生活したい”という夢を抱いた時に、一般的なホワイトカラー職では、現地での就労が難しい。しかし「日本の職人」としてなら、就労可能なビザが取得しやすいためだ。



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この記事の核となる項目
 ●世界各地に広がる寿司職人養成スクール
 ●海外へ飛び出す職人修行の実態と問題点
 ●職人ノマドとしてのワークスタイルとは
 ●職人ネットワークの形成と紹介斡旋ビジネス
 ●寿司業界にある料理人の紹介斡旋システム
 ●海外から発掘する高品質の職人ブランド
 ●メイド・イン・USAをブランド化する米国製造業の再生
 ●個人が「メーカー」として起業するパーソナル製造業時代
 ●外国人シェフが進化させる日本食の魅力と新たな料理ビジネス
 ●米国で人気化するDIY職人としての副業モデルと集客ノウハウ
 ●アンチ大量生産の消費者に支持されて急成長する手芸サイト


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