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  9.11テロ以降、米国のセキュリティ技術が急速に進化した背景には、CAIが関連のベンチャー企業に対して積極的な出資をおこなってきたことがある。それらの技術は民間にも活用されることで、各種のハイテク製品が登場してきている。
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米国CAIが出資をする
バイオメトリクス技術の役割と応用範囲
written in 2012/5/28

 米国では、2001年の同時多発テロをきっかけに、様々なセキュリティ機能が普及することになった。防犯カメラやセキュリティゲートが多くの場所や施設で導入されることとなり、関連の機器を開発することが一大ビジネスに成長した。今でも技術の進化は続いているが、その背後には米CIAの後押しがある。

In-Q-Tel(インキュテール)」というのは、CIA(米中央情報局)のベンチャーキャピタル部門で、この部署を通して米政府は、民間企業が開発する様々なセキュリティ技術に出資をしている。

たとえば、Sightech Corporation(サイテック社)は、工場の生産ライン上で、ビデオカメラに写る映像のパターン認識により、パーツが上手くかみ合っていない不良品、パッケージから商品がはみ出しているエラーを発見できる「Eyebot(アイボット)というシステムを開発しているが、In-Q-Telはこの技術に着目、空港内で荷物を置き去りにする乗客を見つけ出す監視機能として活用している。

また、L-3コミュニケーションズ社は、プライバシーに配慮した人体のスキャン
システムを開発して、全米各地の空港で採用されている。9.11以降、米空港内の警備は非常に厳重となり、たとえ乳幼児であっても、靴を脱ぎ、危険物を隠し持っていないかを調べるスキャナーを通過しなければいけない。しかし、これまで人体スキャナーは「見えすぎる」ことが問題とされていた。

いわばレントゲンのヌード写真のように映ることから、プライバシーの問題が指摘されて、希望者には別室でスキャン検査をしていたことから、警備に時間がかかりすぎていた。

しかし、L-3社が開発したボディスキャナーは、携帯電話の 1/10000という微弱な電磁波のみを照射することで、個人の顔や身体の部位などは鮮明にせず、人形型のマネキン画像にした上で、不審物を発見することができる。金属に限らず、ブラスチック・木・セラミック・ブラステック・液体なども透視することが可能で、X線のように被ばくの心配も無いことから、空港の他にも、駅、大使館、原子力発電所、企業のデータセンターや研究施設などで、持ち込み・持ち出し禁止物の発見にも利用されはじめている。



「In-Q-Tel」は、米CIAを大株主とした民間の投資会社という体裁だが、米議会によって承認された数千万ドルの資金を、セキュリティや情報部門の先端技術を開発する 150社以上のベンチャー企業に出資している。これは金銭的な投資利益を狙っているわけではなく、米政府が求めている技術を、出資先の企業に開発してもらい、その使用ライセンスを優先的に取得することが目的である。

In-Q-Telの出資を受けた企業は、資金面の援助を受けられることに加えて、“米政府が認めた技術”としてのお墨付きを得ることができ、他の企業と取引する際の信用にもなっている。開発された製品は、米政府との独占的な契約部分を除いて、他国へも販売することが可能なため、こうして最先端のセキュリティ機器が世界へと広がっている。特に、バイオメトリクス(生体認証)に関する技術の進化は著しい。

《CIA出資による技術の育成》

 

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この記事の核となる項目
 ●普及段階に入った生体認証システム
 ●社会保障詐欺を防ぐスマートカードの役割
 ●就職採用の身元調査と信用データベースの需要
 ●従業員の経歴詐称を見破る仕組み
 ●小売店で深刻化する店員窃盗の対策ビジネス
 ●健康状態の詐称に対する対応策の必要性
 ●従業員ヘルスレコードの潜在市場
 ●財政破綻に陥るスペイン失業者の意外な実像と生活レベル
 ●格差社会に求められる新たな信用制度と会員制ビジネス
 ●生涯の健康情報を管理するパーソナルヘルスレコードの思惑


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