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  食品業界では消費者を「エリート」と「リアリスト」という2階層に分けた商品設定を意識している。価格は割高でも、安全で質の高い食材を求める層と、価格重視の層とでは、売れる商品の傾向が大きく違ってくる。
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エリートとリアリストに向けた
階層別ブランド戦略の進め方
written in 2012/12/5

 日本で「一億層中流」という言葉が聞かれたのは、1990年代までのこと。経済は成長期から安定期に差し掛かっていた頃で、女性の社会進出により共働き世帯も増えたことから、1994年には一世帯あたりの平均所得が 664万円という最高値を付けていた。しかし、その後は下落を続けて、いまは538万円という水準。

しかし、実際の落差はそれ以上に大きくて、所得階級別にみた世帯の分布状況で、最も多いのが「300〜400万円」の層である。雇用の形態によっても所得の格差は顕著に表れており、正社員と非正社員では2倍以上の年収差がある。

《世帯所得階級別の分布状況(国内)》

 

中流層が崩壊して所得の格差が広がっているのは、日米で共通している現象。そのため、最近は食品業界でも、二極分化する消費者を「エリート」と「リアリステクック(リアリスト)」という階層に分けて、それぞれの商品設定をするようになってきた。

米国のマーケティング会社SAI社の調査によると、年収10万ドル以上の世帯は全体の約16%で、この層がいわゆる「フードエリート」と位置付けられている。彼らは、自然食や手作り食品、有機栽培の野菜などを好み、また、雑誌や映画などに取り上げられている食品を買い求める傾向が強い。食品に対して、一般の消費者(リアリスト)よりも2割近くお金を使っている。

一方、リアリストは残りの84%の消費者が該当して、価格重視で何軒もの店を回って安い買い物をすることに熱心だ。また、量が多く入っていて、便利に食べられる食品を選ぶ傾向が強いという。

こうした分析を元にして、米国の食品メーカーでは、階層別の商品設定やマーケティングをすることが重要になってきた。大手のメーカーでは、客単価の高いフードエリートを狙うことも大切だが、それだけではパイが少ないため、全世帯の8割以上を占めるリアリストに対して、訴求力のある商品を投入していく必要がある。

そこで注目されているのが、親しみやすいブランドイメージを商品に付けることである。ブランドに影響されやすいのは、エリート層のほうだと思いがちだが、彼らは、食品に関する知識や情報を自分で収集して、本当に良い商品を自分で見つけようとするため、安易なブランドには影響されにくい。反対に、リアリストの消費者のほうが、聞き慣れたブランド名を頼りにして商品を買い求めている。

そこで今回は、格差が広がる消費者層に対して、階層別にどんなマーケティングが展開されているのかを紹介しながら、そこに参入できる新たなブランドビジネスについて解説してみたい。

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この記事の核となる項目
 ●階層別に捉えた米国メーカーのブランド戦略
 ●プロスポーツ公式グッズのライセンス市場と契約体系
 ●スモールビジネス向けのライセンス仲介サービス
 ●カレッジライセンス商品の制作〜販売までの流れ
 ●エリート消費者に向けた専門家ブランドの立ち上げ
 ●新興国におけるエリート消費者の獲得モデル
 ●名投資家が注目するマイナーリーグの事業モデルと資産価値
 ●オーガニックマークのブランド価値と認証ビジネスの舞台裏
 ●サブスクリプション型で生まれ変わる小売業のビジネスモデル
 ●高級ブランド崩壊〜再構築による家内制職人ビジネスへの回帰
 ●世界に共通したミドルクラスの消滅と日本特有のデフレ構造
 ●小学校が理科室の命名権を売るライツセールス市場の最前線


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