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  工作機械のデスクトップ化により、個人でも「メーカー」を立ち上げて、オリジナルの製品を販売することが可能になっている。スモールメーカーは、大量生産には向かないが、製品のカスタマイズやオーダーメイドには、強みを発揮できる。
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個人が「メーカー」として起業する
パーソナル製造業時代の幕開け
written in 2012/11/12

 日本が世界に誇れる産業といえば、製造業を挙げる人は多い。「日本の物づくりは世界一」という自負も、製造業者の中に少なからずある。しかし、現実には、国内の製造業が衰退しているのは、誰もが感じているところ。経済産業省の工業統計によれば、従業員が10人以上いる製造業者の事業所数は、2001年に15.5万ヶ所だったのが、2010年には12.3万ヶ所にまで減少している。

《国内製造業者の推移》

 

衰退の理由として、新興国と比べて日本の人件費が高いことは、各方面で指摘されているが、もう一つの視点として、製造業で使われる工作機械や精密機器の性能が飛躍的に向上していることも、見逃すべきではない。

以前なら、熟練工でなければできなかった部品や材料の加工も、いまでは図面データを入力するだけで自動加工ができる「NC工作機械」が主流だ。しかも、コンピューター制御の工作機械にも低価格化の波が押し寄せており、新興国の工場では日本よりも安価な機械が導入されている。

工作機械メーカーの戦略として、日本のように高い精度の品質を求める国向けには、高性能で高価なマシンを販売しているが、新興国には、最新の機能を省いた低価格マシンを販売している。つまり、製造業における品質の差は、「マシン性能の差」と捉えることもできる。しかし、新興国のマシン性能もやがては追い付くこととなり、品質の差も無くなるとみられている。

《工作機械メーカーの販売戦略》

 

《世界の工作機械市場規模(2009年時点)》

 

こうした動向からすると、製造業の先行きは、工作機械メーカーが舵を握っているとも言えるが、この業界にも、新たな変革の波が押し寄せている。それは、コンピュータ業界が、大型マシンからパソコン、そしてスマートフォンのような携帯端末へと進化していったのと同様に、工作機械の分野でも、「ダウンサイジング」そして「パーソナル化」が進むとみられている。

製造業のパーソナル化とは、個人でもできる物作りとして、既にDIY人気として兆候が現れているが、米国では「3D・CAD」「3Dプリンター」「3Dスキャニング」など機能が使える最新マシンが、個人ユーザー向けに売り出されており、それらを利用することで、パーソナルな“メーカー”を立ち上げることも可能になっている。



米国では、以前なら数万ドル以上した工作機械が、最近ではパーソナル用として数千ドルで購入できるようになっているが、それらを製作しているのも、個人が立ち上げている工作機械メーカーであり、彼らはオープンソースの発想により、図面を公開しながら、最新マシンの開発に取り組んでいる。それにより、これからの製造業がどのように変わっていくのか、どんな製品が生み出されていくのかを見ていくことにしよう。

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この記事の核となる項目
 ●CADを起点としたパーソナル製造業の時代
 ●個人が開発するオープンソース自動車の登場
 ●パーソナル工作マシンの実力と可能性
 ●オープンソースで開発される3Dプリンターの世界
 ●オリジナルグッズを製作販売するパーソナルメーカー
 ●パーソナルメーカーの製品開発〜収益化の流れ
 ●オープンハードウエアによる製造業の変革
 ●スモール製造業の拠点となる会員制レンタル工場
 ●米国で人気化するDIY職人としての副業モデルと集客ノウハウ
 ●ユーザー参加で需要を先読みするソーシャルプロダクト開発
 ●キックスターターによる資金調達方法とクラウドファンディング
 ●設計図と模型を売ることでも成り立つモノ作り起業の方法


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JNEWS LETTER 2012.11.12
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