注目の新規事業テーマ
  
Top > 注目の新規事業テーマ
  欧州のホテル料金相場は、オリンピック開催地の英国を除けば、軒並み下落している。LCCによる格安航空券の普及により、旅行者の客層やスタイルにも変化が訪れて、高級ホテルも従来の料金体系を維持することが難しくなっている。
JNEWS LETTER
2週間無料体験購読
配信先メールアドレス

Counter
ソーシャルブックマーク
JNEWS.com を Yahoo!ブックマークに追加 Yahoo!ブックマーク
JNEWS.com を はてなブックマークに追加 はてなブックマーク
JNEWS.com を livedoorクリップに追加 livedoorクリップ

RDF

twitter

Google

WWW を検索
JNEWS.com を検索
LCC就航による旅行スタイルの変化と
格安航空券の多様化
written in 2012/3/18

 日本から海外へ自由に旅行できるようになったのは1960年代からのこと。当時は1ドル=360円の時代で、しかも、日本人が1年間に使える外貨の額や、国外に日本円を持ち出すには厳しい規制がかけられていた。他国へ入国するには必ずビザが必要で、その申請手続きも難しかった。

航空券の値段も非常に高くて、今のように簡単にオンライン予約ができたわけでないため、個人が海外旅行に行くには、大手旅行会社のツアーに参加するくらいしか手立てが無く、英国ロンドンまでのツアー代金は、現在の金銭価値でいうと300万円以上した。

それが現在では、10分の1以下の金額で行けるようになっているし、方法次第では、さらに安い予算で済ますこともできる。アジアであれば、下手な国内旅行よりも安価な旅を楽しむことができるが、これは50年前からしたら、夢のような発展といえるだろう。

さらに、日本でもいよいよ「ローコストキャリア(LCC)」と呼ばれる格安航空便の就航が本格化して、2012年3月からは、関西国際空港を拠点に「Peach(ピーチ・アビエーション)」が開業した。最初は、国内線のみだが、年内には香港、台北、ソウル便の就航も予定されている。そうなると、同じ路線を飛んでいる、他の航空会社も運賃の値下げをすることが予測され、いよいよ、新幹線運賃と同程度で、気軽に海外へ出かけることができる時代が到来することになりそうだ。

Peach (ピーチ・アビエーション)



世界の航空業界で、なぜローコストキャリア(LCC)が台頭してきたのかについては、以前の 2010.9.16号で解説しているが、今後の影響として考えられるのは、海外旅行やビジネス出張のスタイルにも、少なからず変化が起こってくることである。その動向は、LCCが既に普及している欧米の様子から窺い知ることができる。特に欧州では、LCCによる航空券の価格破壊が起きて以降、ホテルの宿泊料金も、一定の相場水準が崩れて、業界の地殻変動が起こっている。

もともと、ホテルの客室は、決められた日時までに売らないと価値が消滅してしまう「時間在庫」としての性質があるが、最近では、オンライン予約が主流となり、リアルタイムで客室料金を変動させていかないと、旅行業界の検索エンジンで上位に表示されないため、宿泊客を獲得することが難しい。その結果、料金の値引き合戦も熾烈さを増しているのだ。

世界的なホテルの価格比較サイト「Trivago(トリバーゴ)」の報告によると、欧州ではホテル料金の下落が続いており、スタンダード・ダブルルーム1泊の平均価格は112ユーロ(約1.2万円)という状況。2011〜2012年にかけての価格推移をドルベースでみると、パリやロンドンなどを除いたほとんどの都市で、3〜14%の下落になっている。

《欧州各地のホテル料金相場/1泊(2012年3月)》

  
  ※カッコ内は2011〜2012年の価格推移
  ※出所:Trivago http://www.trivago.com/

こうした背景には、不況の影響もあるが、LCCの利用者が航空券以外でも、「賢い旅をする方法」を色々と開発していることが大きい。低予算で海外旅行をする人のことは「バックパッカー」と呼ばれてきたが、LCC普及以降は、更に低予算での旅行も可能になってきている。今回は、彼らがどんな航空券や宿泊場所の決め方をしているのかを学びながら、その周辺で起きている、新種の旅行ビジネスを解説していきたい。

注目の新規事業一覧へ

この記事の核となる項目
 ●格安航空券とは何か?その種類と特徴
 ●エコノミー席でも多様な航空券の種類と販路
 ●旅行会社に取って代わるフライト検索サービスの台頭
 ●オンライン旅行業界で行われるアグリゲーションの仕組み
 ●ホテルより使い勝手が良いアパートホテルの活用法
 ●アパートホテルの採算構造と大家としての参入
 ●無銭宿泊を楽しむカウチサーフィンの旅行スタイル
 ●自宅を有料レンタルするためのプラットフォーム
 ●日本から仕掛ける海外旅行ビジネスの視点
 ●円高ユーロ安を好機と捉えた欧州ビジネスの狙い方と有望国
 ●副業として家賃収入を得る大家業の実態と物件管理の業界構造
 ●オーバーブッキングで帳尻を合わすホテル客室の予約管理術


この記事の完全情報はこちらへ
JNEWS LETTER 2012.3.18
※アクセスには正式登録後のID、PASSWORDが必要です。

■この記事に関連したバックナンバー
 ●1万円の海外旅行を実現させる格安航空会社(LCC)の衝撃
 ●出張族をターゲットとした旅行ビジネスの潜在市場と商機
 ●オンライン旅行予約サイトに変わる新たな旅行ビジネスの台頭
 ●世界最大19億人の市場を生む、ASEAN−中国自由貿易圏
 ●エコ旅行を支援するソーシャルサービスとソロ・トラベル市場