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  他国への仕事流出を防ぎ、かつ安いコストで優秀な人材を確保する先として、田舎に住むテレワーク人材が注目されている。米国ではエコなライフスタイルを求めて、田舎へ移住するIT人材も増えていることから、大手企業でも田舎でのリクルート活動に力を入れている。
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都市−田舎の格差を埋める
ルーラルビジネスへのマネー環流
written in 2012/1/24

 どんな人でも「住んでみたい土地」への憧れはあるものだが、英国の経済誌、エコノミストが毎年行っている「世界の住みやすい都市ランキング」によると、1位がバンクーバー(カナダ)、2位はメルボルン(オーストラリア)、3位はウィーン(オーストリア)、という順位になっている。

《世界の住みやすい都市ランキング(2011年)》

  

このランキングは、エコノミスト誌の調査部門が、世界の各都市を「治安」「医療」「教育」「文化と環境の良さ」「社会インフラ」などの項目を独自に評価したものだが、上位の都市に共通しているのは、先進国の中でも、比較的人口密度が低い、小都市であるという点だ。

日本の東京は、社会インフラの面では世界有数だが、なにせ人口密度が高いため「住みやすい」とは言い難い。人が密集している大都市ほど、地価や家賃の相場は高くなり、それが家計への負担として重くのしかかる。

それでも、多くの人達が大都市へ集まり、そこを離れられないのは、その場所に「仕事=収入源」があるためだろう。逆に言えば、仕事の地理的な制限を乗り越えることができれば、物価が安くて、自然が豊かな田舎へと回帰していく人はもっと増えるはずである。

仕事は、大都市で働くのと同水準の収入があり、生活するのは「物価が安くて自然が豊かな田舎」というのが理想だが、これはITのインフラを上手に活用した「ノマド・ワークスタイル」として、既に実現可能になっている。

《ノマド・ワークスタイル例》

  

一方、企業の立場でも、ビジネスの拠点を大都市に置き続けることがベストというわけではない。大都市は、オフィスの家賃や人件費の高さから、これから世界とのコスト競争を戦っていく上では不利になる。米国や欧州では、国の財政悪化により、法人に課せられる税率が上がってきたことから、できるだけコストが安い地域へと移転する動きや、これから起業をする者にとっても、田舎を選ぶことにより様々な恩恵がある。

米国では、2012年の成長分野として「ルーラル(田舎)ビジネス」が注目されているが、これはニューヨークやシリコンバレーのように、これまで金融やITビジネスの拠点としていた地域のコストが高騰したことへの反省でもあり、有力な企業や起業家が、他国へ逃避しないための策としても、田舎発のビジネススタイルが成功できる基盤を築くことが必要とされているためだ。

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この記事の核となる項目
 ●米国の地域格差と起業に適した場所の条件
 ●テレワーカーの発掘と育成をするビジネス
 ●米国のルーラル・テレワーク最新事情
 ●都会の客を獲得する靴底の修理業者に学ぶ
 ●地域住民によるローカルビジネスの共同経営モデル
 ●ルーラル企業の資金調達手段と新たな投資モデル
 ●世界共通ビジネスツールとなるSNS活用とローコスト英会話
 ●新興国のエリート人材が鍵を握る今後の国際ビジネス動向
 ●黒船に乗った新興国の知的ワーカーが迫る労働市場の開放政策
 ●米国政府が仕掛ける公務員の在宅勤務制度と新オフィス構想


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