ソーシャルブックマーク |
Yahoo!ブックマーク
はてなブックマーク
livedoorクリップ
|
|
国境を意識しない海外起業の可能性と 国際条約ネットワーク |
written in 2011/11/25
10年以上前の話になるが、起業する人達の間で「海外での会社設立」が流行ったことがある。当時は、日本で株式会社を設立するのに1000万円以上の資本金が必要だったため、資本金の制約が無い、海外に会社を登記することにより、法人格を取得するのが目的であった。
その後、日本でも最低資本金の制約が撤廃されてからは、あまり聞かれなくなっていったが、最近になってまた「海外法人」が注目されてきている。それが以前と異なるのは、名義だけでなく、本当に海外をビジネスの拠点にしようとしていることだ。
その契機となっているのは、急速な円高や、TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)加入への動きなどである。TPPについては、加盟することの利点と欠点が議論されているが、大手メーカーなどは、円高が1円進行するだけで輸出部門は100億円以上の利益が吹き飛ぶことになり、いまよりも更に生産の拠点を海外にシフトしていかないと生き残ることが難しくなっている。
一方、円高では、輸入品を海外から安く仕入れることができ、商品の値引き(デフレ)に繋がるため、消費者の家計には助かるが、国内の中小製造業や農業生産者にとっては、経営が成り立たなくなってしまう懸念がある。
そこで、安価な輸入品をディフェンスする役割を果たしていたのが「関税」だが、TPPとは、その関税を加盟国の間で撤廃させて、自由な貿易活動を促進させようとする取り決めである。
■環太平洋戦略経済連携協定(TPP)の概要 (JETRO)
http://www.jetro.go.jp/theme/wto-fta/basic/tpp/
《TPP加入のメリット(○)とデメリット(▲)》
○…海外→日本への輸入品価格が下がる。(食品、工業品、衣類など)
○…消費者の立場では、安い買い物ができるようになる。
○…日本→海外へのビジネス展開がしやすくなる。(外需の獲得、拡大)
○…国際間の商品・サービス・人の行き来はしやすくなる。
▲…日本の中小業者は、安い輸入品との競争で疲弊、淘汰される。
▲…海外の人材も日本で働きやすくなり、日本人の雇用が奪われる。
▲…公的医療の分野でも、貧富の格差により受けられるサービスが変わる懸念。
▲…外資マネーにより、企業買収が活発になる。
こうしてみると、TPPのメリットとデメリットは表と裏の関係にあり、加入が正しい、間違っているという判断は、その人の立場によって異なるものだ。しかし、既にグローバル化が避けられない状況の中で、これから新ビジネスを起こそうとする者にとっては、TPPのメリットを意識した展開を考えていくことが大切。
具体的には、海外ビジネスの新たなノウハウを自ら開拓することである。これからは、大企業に限らず、スモール企業や個人でも海外を拠点としたビジネスはしやすくなるが、その方法は、事業の規模や内容、商圏とする国によって様々で、国と国とのルール(法律や協定など)も目まぐるしく変わっている。そのため、教科書のようなマニュアルはあまり役に立たない。
A国をターゲットにしたビジネスでも、A国に会社を設立することが最良の策ではなくて、B国を中継地としてオフィスを構えたほうが賢い場合もある。そうしたことから、海外での新たな会社経営ノウハウが注目されているが、まずは意外と知られていない初歩的なことから学んでみよう。
(注目の新規事業一覧へ)
●どこの国で起業するのがベストなのを見分ける視点
●日本−中国のビジネスにおける問題点
●新興国ビジネスにおけるリスクの想定と対策
●日本企業の南米市場進出モデル
●ドルが国際ビジネスの主軸になる理由とは
●ネットが実現する異国間ビジネスの新たな手法
●「生活は海外、仕事は日本」のライフスタイルを実現する方法
●「生活は日本、仕事は海外」のライフスタイルを実現する方法
●円高を追い風にしたスモール貿易の起業と有望商材の発掘法
●円高ユーロ安を好機と捉えた欧州ビジネスの狙い方と有望国
●新興国のエリート人材が鍵を握る今後の国際ビジネス動向
●オープンな職場と仲間を好むコワーカーとしての就労スタイル
●経済連携による国境消滅で起こる介護人材の国際調達ビジネス
●インド人ビジネスマンに学ぶ仕事の向上心と海外志向の高め方
JNEWS LETTER 2011.11.25
※アクセスには正式登録後のID、PASSWORDが必要です。
|
|
|
|