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  欧州では若者(25歳未満)の失業率が20%を超しており、親から独立できない状態になっている。そこから蓄積された不満がデモ活動への火を付けたが、他の先進国でもミドルクラスの世帯が消滅して、富裕層と失業層の二極分化が進行している。
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悲惨指数からみた不満への衝動と
世界で深刻化する失業問題
written in 2011/10/18

 いま政治家や経済学者の間で注目されている指標に「悲惨指数(misery index)」というものがある。これは、物価の上昇率(インフレ率)と失業率とを足したもので、この数値が上昇している国ほど、国民の不満は高くなる。指数が10%を超すと黄信号が点灯して、国民が不満の行動が起こりやすくなると言われている。

2011年の8月に暴動が起こった英国をみると、「インフレ率(3.1%)+失業率(7.8%)=10.9%」で、ちょうど 10%を超えた水準だ。暴動ではないが、国民が自発的に公園などに集まってデモなどをする「15−M運動」が広がりはじめたスペインの場合には、失業率が21.2%と、EUの中でも最悪の状態で、それにインフレ率(2.0%)を加えた、悲惨指数は23.2%。

また「ウォール街を占拠せよ(Occupy Wall Street)」を合い言葉にデモが広がっている米国でも、2011年の悲惨指数は12.8%で、戦後最悪と言われた1990〜91年の不況を上回る水準になっている。

《世界各国の悲惨指数》

  

日本でも、不況風は吹いているものの、世界からみればまだ悲惨指数は低い。それは、円高による輸入品の値下がりで、物価(インフレ率)がマイナスになっていることや、企業が社員を無闇には解雇しにくい雇用システムが関係している。とはいえ、サラリーマンの年収下落や、非正社員の増加などで、国民の不満が蓄積されていることは、他の国と変わらない。

最近では、個人でもソーシャルメディアによって自由に発言して、同じ考えを持つ者同士がグループを作ったり、イベントや集会を開催しやすくなっていることから、不満はすぐに“行動”として実行することができる。

世界の各地で起こっているデモの動きは、英国の暴動を除けば、いまのところ平穏な活動として行われているが、それが何かをキッカケに化学反応を起こして、いつ過激な行動へと変わるとも限らない。それを回避するには、世界の先進国で不満が蓄積しているメカニズムを理解する必要がある。

そして、欧米諸国に共通した「失業率の上昇」は、どこに理由があるのかを突き止めていかないことには、日本でもさらに失業者が増えていくばかりだが、その具体的なところを探ることにより、世界の労働市場にいまどんな変化が訪れているのかを考えてみたい。

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この記事の核となる項目
 ●欧州で増える若者ニートのカラクリ
 ●親の年金をアテにした若年失業者のパラサイトモデル
 ●格差への不満から起こる世界のデモ活動
 ●米国における富の独占システム
 ●米国高所得者の4階層について
 ●トップビジネスマンと一般労働者の格差が開く構図
 ●ミドルクラスが消滅する先進国の実態
 ●欧米とは異なる日本の富の特殊事情
 ●保守的な国民性が「円高」へ誘導するシナリオ
 ●世界の有力企業が注目するブラジル経済と2億人の消費市場
 ●スマートフォンとSNSが牽引する市民革命へのシナリオ
 ●40億人の貧困層へ向かう起業支援マネーの流れとBOP市場
 ●イスラム商法に学ぶ営利ビジネスの健全化と懺悔の方法


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