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  米国の医療費が高いことは世界的にもよく知られていることだが、具体的には日本の約3倍。 医療保険は、国民すべてに適用されるのではなくて、自分の収入や人生設計に応じて加入する方式になっている。
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世界で最も高い米国医療制度の仕組みと
長寿への人生プラン
written in 2011/9/18

 体調不良や怪我をした時に、いつでも気軽に診察を受けられるのは、日本の公的保険制度が整備されていることの利点だが、その代わりに、会社員なら毎月の給料から保険料が天引きされているし、自営業者も国民健康保険に加入している。その金額は、年収に対して7〜9%(会社員は本人と会社で折半)と高いが、それでも日本全体でみると、高齢者の医療負担が重くなってきたことで、健康保険制度の仕組みは破綻寸前のところまできている。

健康保険組合連合会(健保連)の統計によると、一定規模以上の企業が設立している健康保険組合 1,458団体の中で、赤字の状態にあるのは約8割の 1,184組合にもなる。これは、若くて健康な社員が少ない一方で、何らかの持病を抱えている中高年の社員や、退職者の医療費負担が重くなっているためだ。

《健康保険組合の収支状況(平成22年度》

  

若者よりも中高年者が多い社会になれば、「健康な人が病気の人を支える」ことを前提にした、いまの健康保険制度は成り立たなくなり、何らかの変革が必要になる。具体的には以下のような策が考えられている。

(1)患者の医療費負担額を増やす
(2)公的医療の対象範囲を縮小させる
(3)民間の医療保険を普及させる
(4)患者の受診回数、入院日数を減らす工夫をする

いずれにしても、これから質の高い医療サービスを受けようとすれば、公的保険だけに頼るのではなく、患者自身がオプションとしての民間保険や自由診療の費用を負担していくことになりそうで、それができる人と、できない人では、受けられる医療の内容にも格差が生じてくることになる。

「所得の違いにより、生きられる年数(寿命)も違う」とも言えそうだが、それは世界の歴史でも実証されている。統計データを面白く読み解くことで人気の科学者、ハンス・ロスリング氏が、世界200ヶ国で過去200年間(1810年〜2009年)の年収と寿命の関係を調査したところ「poor &sick(貧しい人ほど短命)」、「rich & healthy(裕福な人ほど長寿)」であると解説している。



医療格差が大きな国といえば米国で、失業や貧困により何も保険に加入していない“無保険者”が国民全体の15%(約4700万人)もいる一方で、世界で最も高度な医療が受けられる国としても知られている。病院が高度な医療を提供するには、高い報酬で有能な医師を雇ったり、高価な医療機器を導入することが不可欠で、そのためには診療費が高くなるのは当然という考え方がされている。

それでも、米国の医療サービスが進化しているのは事実で、その内容からは、日本の病院や健康業者がヒントにできる要素がたくさんある。それらを紹介しながら、日本でも数年先の医療ビジネスがどのように変化していくのかを考察してみたい。

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この記事の核となる項目
 ●世界で最も高い米国医療費の実態
 ●自分で決める健康保険の予算と医療プラン
 ●米サラリーマンの健康保険加入ルート
 ●米国の高齢者医療と福利厚生への依存
 ●疾患別にみた米国の入院費用
 ●日本よりも優れた医療ホスピタリティの状況
 ●健康レジャー施設化する米国の総合病院
 ●病院との連携による健康スクール
 ●米国からアジアへの医療ツーリング市場
 ●薄利多売型で疲弊する日本医療への処方
 ●一億総中流が崩壊した日本における相対的貧困者の実態
 ●玉石混淆の健康サービスが生き残るための医師との協業ビジネス


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